英国が抱える2つの難関 ジブラルタルとスコットランド ヨーロッパ Nikkei Views コラム 12月25日 年間の輸出入額6600億ポンド、円換算で100兆円に及ばんとする最大の自由貿易協定(FTA)が、ドーバー海峡間に発効する。英国は欧州連合(EU)の単一市場と関税同盟から名実ともに離脱するが、財とサービスの取引に関税が復活する事態は避けるという点で、英国とEUは同じ方を向いていた。 英国と欧州大陸で猛威をふるう新型コロナウイルスが、交渉当事者の背中を押した面もある。最後の最後まで難航したのが英近海 英国が抱える2つの難関 ジブラルタルとスコットランド
オンライン診療の効用は 編集委員 時論・創論・複眼 12月24日 パソコンなどの画面越しに診察を受けるオンライン診療が時限措置として全面解禁されて8ヵ月あまりがたった。新型コロナ感染症対策としての特例的な規制改革として始まったが、この間に特有のメリットや足らざる点が浮かび上がってきた。望ましい診療のかたちを関係者に聞いた。 ◇ ◇ ◇ 予防効果高め重症化防ぐ インテグリティ・ヘルスケア社長 園田愛氏 特例としてのオンライン診療には大きなインパクトがあった。 オンライン診療の効用は
差し押さえ最多の介護保険 フェアな徴収とは 霞が関エックス線 コラム 12月23日 「差し押さえ」には、どこかおどろおどろしい語感がある。手元の辞書を引くと「国が税金滞納者の財産を強制的に取得すること」などとある。誰だってそんな目には遭いたくない。 介護保険の保険料不払いを続け、制度を運営する市区町村から資産の差し押さえを受ける高齢者が急増している。各自治体の報告を厚生労働省が集計した結果によると、2018年度の差し押さえ件数は1万9221件と最多を記録した。前年度と比べると3 差し押さえ最多の介護保険 フェアな徴収とは
侮れぬ「ご対面!」の効用 デジタル化は不可逆だが… 核心 12月7日 関西テレビ系「パンチDEデート」は、断トツ人気の昭和のお見合い番組だった。 最高視聴率44.9%(関西地区、ビデオリサーチ)。ある世代以上の人は司会の西川きよしさんと桂三枝(六代文枝)さんの掛け合いが口をついて出てくるに違いない。ひと目会ったその日から、恋の花咲くこともある--。 クライマックスは「せーのー、ごたーいめーん!」。 2人の掛け声とともに、若い男女を隔てたカーテンがあく場面だ。想像を 侮れぬ「ご対面!」の効用 デジタル化は不可逆だが…
名医を育むオンライン診療 霞が関エックス線 コラム(経済・金融) 編集委員 11月18日 名医や良医と聞いて、あなたはどんな医師を思い浮かべるだろうか。 山本周五郎『赤ひげ診療譚(しんりょうたん)』の主人公のモデルとされる江戸・小石川養生所の小川笙船(しょうせん)のように、貧しい人びとを献身的に治そうとする町医者を想像するかもしれない。あるいは、手塚治虫の漫画『ブラック・ジャック』のようなゴッドハンド(神の手)をもつスーパー外科医をイメージする人もいよう。 誰だって自らが病を得たとき 名医を育むオンライン診療
省庁ヒアリングにみる政と官の間合い 霞が関エックス線 コラム(経済・金融) 編集委員 10月28日 2007年のことだ。「あれだけはやめてほしいんだよね。政と官の間の暗黙ルールに反してるよ」。厚生労働省の幹部がため息をつきつつ、憤りをあらわにしたのを覚えている。 時は第1次安倍政権。今はなき厚労省・社会保険庁(現在の日本年金機構と協会けんぽ)が引き起こした「消えた年金記録問題」に対し、野党民主党が攻勢をかけていた。この問題に熱心に取り組む同党の議員から、厚労省や社保庁にたびたび呼び出しがかかり 省庁ヒアリングにみる政と官の間合い
コロナに敗れた規制改革 政権ど真ん中を貫くには 核心 編集委員 10月19日 意表を突く問いかけに画面の向こうの官僚が一瞬、黙った。「ラブホテルはOKなのに、ふつうのホテルや旅館はなぜ駄目なの?」 首相の諮問機関である規制改革推進会議が9日にオンライン開催したワーキング・グループで、河野太郎規制改革相が発した一言だ。 コロナの感染抑止に人どうしの接触回避が有効なことはすっかり浸透した。対面での行為はデジタル技術を介して顔を合わせず済ませるに越したことはない。ホテルに泊まる コロナに敗れた規制改革 政権ど真ん中を貫くには
アベノミクスとは異質のスガノミクス 霞が関エックス線 コラム(経済・金融) 編集委員 9月23日 一大事件の発生時など、新聞各紙が同じ日に同じテーマの社説を載せることがある。題材が共通しているだけに、読み比べるとそれぞれの社論の特性がつかめる。今のように新しい政権が船出したときは、その機会がたびたびある。 17日、主要紙がこぞって菅義偉政権の発足を社説で論じた。日本経済新聞は「新首相は『安倍政治の継承』を掲げて自民党総裁選に勝利したが、前政権と全く同じではないはずだ」と前置きしたうえで「迅速 アベノミクスとは異質のスガノミクス
「年金抑制」いっそやめたら? 代わりに70歳支給開始を 核心 編集委員 8月24日 5月29日といえば、安倍晋三首相が緊急事態宣言を解除してまだ間がないときだ。日本中がコロナ禍の行く末に不安を募らせていたのだから、国会情勢を気に留める人が少なかったのも無理はない。 2019年の年金財政の検証結果を踏まえ、厚生労働省が先の国会に出した年金法案が成立した日である。注目すべきは採決に賛成した政党の顔ぶれ。自民、公明の両与党は当然として、立憲民主、国民民主、日本維新の会も法案修正を経て 「年金抑制」いっそやめたら? 代わりに70歳支給開始を
国の負担? いえ、あなたの負担 霞が関エックス線 コラム(経済・金融) 編集委員 8月19日 小泉政権の時代から医療政策の立案に深くかかわってきた与党の古参議員が嘆いている。「新型コロナはさまざまな面で私たちの価値観を揺さぶっているが、政治家の金銭感覚までまひさせてしまった」と。 2020年度の国の歳出規模は、2度の補正予算の編成を経て160兆円に膨張した。新規国債発行は90兆円、基礎的財政収支の赤字幅は66兆円と、ともに未曽有の額だ。1人10万円の特別定額給付金のほか、コロナ危機に翻弄 国の負担? いえ、あなたの負担