強制起訴は誰のために 刑罰以外の選択肢はないか 事件・司法 Nikkei Views 編集委員 1月19日 福島第1原発の事故をめぐり、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東京電力の元会長ら旧経営陣3人に対し、東京高裁が一審・東京地裁に続き、無罪判決を言い渡した。「東日本大震災の大津波を予見し、対策を講じて事故を避けることは難しかった」とする一審の判断を支持した。 2009年の制度導入以降、明らかになっている強制起訴による裁判10件のうち、有罪が確定したのは2件だけ。制度の形骸化を指摘する声もあるが、こ 強制起訴は誰のために 刑罰以外の選択肢はないか
元首相銃撃への「共感」に危うさ 問われる「正しい力」 安倍氏銃撃/国葬 事件・司法 Nikkei Views 編集委員 1月13日 事件やそれを起こした人物に、世間一般が共感を寄せることはままある。「義賊」のような存在や、理不尽に虐げられた人が「やむにやまれず立ち上がる」ような事件は、物語などに取り上げられたりもする。 庶民の側に立っているわけでもない、まさに悪事に手を染める「ダークヒーロー」をほめそやす風潮もある。1968年に東京・府中で起きた3億円事件では、白バイの警察官にふんして現金を奪った手口の鮮やかさが称賛の対象に 元首相銃撃への「共感」に危うさ 問われる「正しい力」
故・アントニオ猪木さん(元プロレスラー) 命かけ演じた格闘王 追想録 編集委員 1月13日 「レスラーは表現者でなければならない」。新日本プロレスのリングドクターを長年務めた富家(ふけ)孝さんは、猪木さんがよくこう話していたことを覚えている。恩師、力道山の教えだったという。 ピンチを耐え一瞬の隙をついて繰り出す、すごみのある技。握りこぶしを相手の顔面にたたき込むときの、鬼の形相――。猪木プロレスはまさに、内に宿す「燃える闘魂」を視覚化したものだった。 猪木さんは自らの表現メソッドを「風 故・アントニオ猪木さん(元プロレスラー) 命かけ演じた格闘王
ランサムウエアの暗号解除 日本警察の「国際通行手形」 事件・司法 Nikkei Views 編集委員 12月31日 身代金要求型ウイルス「ランサムウエア」の一部について、警察庁が暗号化された被害企業などのデータを復元するツールを独自に開発した。海外の捜査機関にも提供、共有を進めており、ランサムウエア対策の新手法として世界的に普及する可能性がある。 日本のサイバー捜査は欧米の主要国が導入している捜査手法が認められておらず、「ガラパゴス化」が指摘されている。警察庁は解析や捜査の力を示すことで日本の存在感を高め、国 ランサムウエアの暗号解除 日本警察の「国際通行手形」
警察、国と地方の分担は? サイバー犯罪は国境越えも 事件・司法 編集委員 ニッキィの大疑問 12月24日 「お正月に帰省しようと思って実家に連絡したら、父親がオレオレ詐欺に遭ったみたいで……」「どこの誰にだまされたのかまったく分からないけど、地元の警察に届け出ればいいんだよね?」 警察は都道府県ごとに活動しますが、犯罪は県境とは無関係に起きます。警察の管轄の意味や課題について、日比学くんと名瀬加奈さんが坂口祐一編集委員に聞きました。 日比くん「警察には厳密な管轄があるのですか」 日本の警察は、47都道 警察、国と地方の分担は? サイバー犯罪は国境越えも
芝園団地、外国住民と共生探る 日本社会の希薄化も問う 外国人「共生」の実相 風紋 コラム 編集委員 12月18日 ごみの投げ捨て、夜中の騒音、香辛料の強いにおい――。入居者の半数以上が中国の出身者だという埼玉県川口市の「芝園団地」はかつて、言葉の壁や生活習慣の違いによるトラブルが相次いだ。「チャイナ団地」と呼ばれたこともある。 住民の共存・共生に向けた活動を続ける団地自治会の事務局長、岡崎広樹さん(41)が今年、20年近くにわたる自治会の取り組みや自身の体験を「外国人集住団地」「団地と共生」の2冊の本にまと 芝園団地、外国住民と共生探る 日本社会の希薄化も問う
「ヒットマン」が問う捜査の力 王将事件でも追及に壁 事件・司法 Nikkei Views 編集委員 11月29日 「ヒットマン」などと聞けば、海外の映画や小説の世界を思い浮かべる。だがこうした役割を担う人物の存在が指摘される事件は、国内でも繰り返し起きている。陰惨な事件に見え隠れする「ヒットマン」をキーワードに、捜査や治安情勢の現状、課題を考えてみたい。 「餃子の王将」を展開する王将フードサービスの社長だった大東隆行さんが2013年に射殺された事件で、京都地検は特定危険指定暴力団、工藤会系の組幹部を殺人など 「ヒットマン」が問う捜査の力 王将事件でも追及に壁
アントニオ猪木さん死去 燃え続けた「闘魂」人生 編集委員 10月1日 スポーツであり、格闘技であり、エンターテインメントでもある。リアルと物語の狭間に漂う、不思議で魅力的な世界。そんなプロレスを体現する存在が「燃える闘魂」、アントニオ猪木さんだった。 プロレスラーが本当に闘う相手はオーディエンス(観客)だという。鍛えた体、磨いた技をリングの上で躍動させ、生い立ちやキャラクターなど自らの「ストーリー」を提示し、見る者の心に訴える。 だれと闘って勝ったか、ではなく、い アントニオ猪木さん死去 燃え続けた「闘魂」人生
安倍氏国葬に臨む警察 要人警護、「情報」が見えない盾 安倍元首相銃撃 安倍元首相国葬 事件・司法 Nikkei Views 編集委員 9月23日 9月27日に営まれる安倍晋三元首相の国葬は、安倍氏銃撃事件の後、警察が迎える初めての大規模な警備となる。警察庁が前面に出て取り仕切り、機動隊など多くの警察官を動員するといった点で選挙遊説の警護とは異なるが、警察の威信がかかった試金石だといっていい。 元首相の銃撃事件を受け、警察庁は各都道府県警が主体となって行ってきた要人警護のあり方を8月に見直した。警察庁が体制や運用の基準を示し、事前に警護計画 安倍氏国葬に臨む警察 要人警護、「情報」が見えない盾
経済スパイ対処を指南 アウトリーチが変える警察の流儀 風紋 編集委員 9月18日 「先日、御社の通用門近くで社員に道案内を頼んだ男はロシア政府機関の職員で、我々はスパイだとみています」「飲みに行きましょうと誘われていると思いますが、会わないようにしてください」――。 先端技術や営業秘密を狙い、接触を試みる経済スパイ。その手口や対処の方法などを企業に提供し、助言する取り組みに警察が力を入れている。冒頭の警視庁の事例のように、具体的な事実を直接当事者に伝えることもある。 経済安全 経済スパイ対処を指南 アウトリーチが変える警察の流儀