戦後の転換期だったあの頃 「Discover 70's」まとめ読み 新型コロナ 大島 三緒 坂口 祐一 毛糠 秀樹 コラム 編集委員 1月10日 半世紀前の1970年代。高度成長期がピークから終幕に向かい、経済成長一本やりに対する懐疑は、人々を内面へと向かわせました。人と社会が大きく揺れ動いたあの時代を振り返り、その反照から現代に通ずる手掛かりを探したこの年末年始の社会面連載企画「Discover 70's」を紹介します。 国鉄キャンペーン「ディスカバー・ジャパン」にアンノン族。「旅から学ぶ」空気が全国にあふれ、みながこぞって旅 戦後の転換期だったあの頃 「Discover 70's」まとめ読み
宇沢経済学のメッセージ 「社会の幸福」、再考の時 編集委員 1月4日 ちょうど50年前のきょう。1971年1月4日付の本紙「経済教室」に「混迷する近代経済学の課題」と題した論考が載った。 筆者は米シカゴ大、東京大などで教えた数理経済学の泰斗、宇沢弘文。当時42歳だった。 「今まで経済学者が信じてきたことを徹底的に批判する内容だったから、ちょっと書きすぎたと思って電話で(日経の担当者に)『原稿を差し止めてもらえませんか』と聞いた」 「しかし、『もう印刷に回ってしまっ 宇沢経済学のメッセージ 「社会の幸福」、再考の時
「黒い雨訴訟」は問う、生きる者にどう向き合うか 風紋 コラム(社会・くらし) 編集委員 9月6日更新 太平洋・ビキニ環礁での米国の水爆実験で、第五福竜丸の乗組員が「死の灰」を浴びたのは1954年。翌55年秋、映画「生きものの記録」は公開された。 監督は黒沢明。興行成績は振るわず、当時は失敗作とみなされた。 鋳物工場で財をなした三船敏郎演じる老人は、核の恐怖から逃れようと家族をつれて南米へ移住することを決意。財産を処分しようとする。息子らは、父は妄想に駆られた準禁治産者だとして家庭裁判所に審判を求 「黒い雨訴訟」は問う、生きる者にどう向き合うか
映画文化の担い手とは ミニシアターの危機と希望 風紋 コラム(社会・くらし) 6月7日 上映時間は5時間17分。濱口竜介監督の「ハッピーアワー」(2015年)という作品を、映画館の暗闇で見た人は幸運だ。 世界が知るところとなった才能を育んだのは、興行的には〈常識外れ〉の長尺映画を評価し、上映を決めた街角の小さな劇場だ。 新型コロナウイルス禍で、資本力に乏しい小規模映画館の存続が危ぶまれている。緊急事態宣言が解除され、6月から客席の間隔を広げるなどの感染症対策を取り、営業を再開した。 映画文化の担い手とは ミニシアターの危機と希望
存廃に揺れる広島の旧陸軍施設「被爆の実相、後世に」 風紋 コラム(社会・くらし) 編集委員 3月22日 広島市の爆心地から南東に約3キロ。住宅地の狭い路地に巨大な赤レンガ倉庫がある。大正2年(1913年)に完成した旧陸軍被服支廠(ししょう)だ。 軍服や軍靴を製造・保管した施設で、4棟が現存。広島県が3棟、国が1棟を所有する。壁面の鉄扉が反り返っている。爆風で変形したのだろうか。築後100年を超す建物は劣化し、「地震の際は近づかないで」との注意書きがある。 昨年12月。県は安全上の理由から「2棟解体 存廃に揺れる広島の旧陸軍施設「被爆の実相、後世に」
問われる帝国の残滓 沖縄の風葬骨、京大に返還請求 風紋 コラム(社会・くらし) 編集委員 12月15日 沖縄本島北部の今帰仁村の森に、「百按司(むむじゃな)墓」と呼ばれる風葬の墳墓がある。 「百」は多数の意。「按司」とは城を築いた有力者だ。琉球を統一した尚氏一族らを祭った墓という。木棺などの調査から15世紀には存在していたらしい。 昭和初期に、当地から研究目的で持ち出された人骨を、京都大学総合博物館が今も保管している。プラスチックの箱に収めて。 先月29日。沖縄の人々が京大に26人の遺骨の返還を求 問われる帝国の残滓 沖縄の風葬骨、京大に返還請求
パレード延期の即位礼 令和の象徴像とは 「令和」新時代 Nikkei Views 編集委員 10月22日 台風20号から変わった低気圧と前線の影響で、不安定な空模様の「即位礼正殿の儀」だった。 平成の即位礼が挙行された1990年11月12日。東京は朝から快晴で、日中の気温は18度。当時の宮内庁幹部が、「天皇晴れ」という古風な言葉で、好天での慶事を喜んでいたことが思い出される。 今回も皇居・宮殿の中庭には、儀式を荘重ならしめるため9世紀の即位礼でも用いられていた「旛(ばん)」と呼ばれるのぼり旗が、はた パレード延期の即位礼 令和の象徴像とは
引きこもり支援に新モデル、家族関係改善で自立へ(風紋) 風紋 コラム(社会・くらし) 9月15日 8月20日。山口県宇部市の公共施設の会議室に、引きこもりの子供を持つ12人の親たちが集まった。 「息子が盆の墓参りに同行し、墓を掃除してくれた。家事の手伝いもするようになった」 「仕事に出られるようになったのに、また家に閉じこもってしまった。娘は一からやり直しでしょうか」 誰にも言えず、ため込んだ思いを率直に語った。 NPO法人「ふらっとコミュニティ」(宇部市)が月に1回開く、引きこもり当事者の 引きこもり支援に新モデル、家族関係改善で自立へ(風紋)