脱炭素、それでも原発新増設の議論を封印 カーボンゼロ コラム 編集委員 科学&新技術 4月12日 脱炭素社会の到来にもかかわらず、原子力を前に進める追い風が一向に吹かない。菅政権でも新増設やリプレース(建て替え)の議論はなぜか封印されたままだ。「カーボンニュートラル」を目指す2050年に向け、「脱原発」へと確実にフェードアウトが始まったと考えるのが妥当といえよう。 原子力政策や電力会社の事情に詳しい国際大学の橘川武郎教授は、20年12月下旬に経済産業省が公表した50年の電源構成(参考値)に着 脱炭素、それでも原発新増設の議論を封印
感染の連鎖を断ち切る 数理モデルが導いた「広島方式」 新型コロナ 編集委員 Nikkei Views 広島 4月10日 人から人へのウイルス感染を封じ込めるイロハとなるのはいつの時代も「検査と隔離」である。広島県が4月、誰もが何回でもPCR検査を無料で受けられる独自の新型コロナウイルス対策を始めた。関西を中心に「第4波」が到来するなか、流行の火種となるクラスター(集団感染)を「見つけて潰す」のではなく「そもそもつくらない」。日本と中国の数学者がコロナ禍の1年を振り返り考案した数理モデルに基づいている。 数理工学の 感染の連鎖を断ち切る 数理モデルが導いた「広島方式」
福島事故被曝で国連報告書「健康への影響、可能性低い」 編集委員 環境エネ・素材 科学&新技術 4月1日 東日本大震災から10年の節目となった2021年3月、東京電力福島第1原子力発電所の事故で生じた放射線の被曝(ひばく)による健康影響を考える上で、重要な国連の報告書がまとまった。結論は「将来、被曝が直接の原因となってがんが増えるなどの健康影響がみられる可能性は低い」という内容だ。 この報告書を作成し公表したのは、原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)だ。主に放射線の環境への影響を 福島事故被曝で国連報告書「健康への影響、可能性低い」
時代遅れのワクチン行政 内向き志向、革新阻む 新型コロナ 編集委員 3月7日 日本での新型コロナウイルスのワクチン接種は世界に大きく出遅れた。科学技術立国をうたいながら国内で実用化のメドも立っていない。時代錯誤なワクチン行政に根深い病巣がある。 国内でワクチンを流通させるには「国家検定」という関門をくぐりぬけなければならない。国立感染症研究所による抜き取り検査で、品質が保たれているかどうかを出荷ごとにチェックする。製品によっては2カ月ほどかかる。 日本製薬工業協会は昨年9 時代遅れのワクチン行政 内向き志向、革新阻む
「予測」は解を示せるか コロナ下、数式は万能でなく 編集委員 科学&新技術 3月6日 気象や地震といった自然現象だけでなく経済活動から消費動向まで、現代社会では未来を見通すのに数学の力が欠かせない。ただ、数の世界に必ず正解があると思い込むのは間違い。新型コロナウイルス対策でも数理モデルや経済学を取り入れた「予測の数学」との上手な付き合い方が求められる。 「予測」は解を示せるか コロナ下、数式は万能でなく
出遅れたワクチン接種 マネーが逃げるリスク 日経ヴェリタス 日経ヴェリタスセレクト コラム 2月8日 コロナ禍2年目となる2021年は間違いなく「ワクチンの年」になるだろう。ウイルスの感染拡大を上回るような勢いで、世界でワクチン接種が広がる。国内でも2月中旬から始まる見通しだが、主要国ではしんがりになった。国の危機管理への対応の甘さが露呈された。 新型コロナに関する様々なデータが発信されるなか、今、最も関心が高いのは、オックスフォード大が提供するサイト「アワー・ワールド・イン・データ」で日々、更 出遅れたワクチン接種 マネーが逃げるリスク
コロナワクチン 日本の課題 時論・創論・複眼 2月4日 2月中旬から国内で新型コロナウイルス向けワクチンの予防接種がようやく始まる見通しだ。緊急事態宣言の延長も決まり、ワクチンへの期待は高まるが、副作用や例のない大がかりな集団接種への不安も大きい。接種の意義、留意点、そして滞りなく進めるための課題は何か。4人の識者に聞いた。 ◇ ◇ ◇ ■集団接種の運営カギに 川崎市健康安全研究所長 岡部信彦氏 できるだけ多くの人にワクチンの接種を受けてもらうとなる コロナワクチン 日本の課題
コロナワクチンは痛い? なぜ筋肉注射? 新型コロナ 編集委員 科学&新技術 2月3日 海外における新型コロナのワクチン接種の光景を見て、ちょっとした違和感を覚えた方もいるのではないか。皆が袖をまくりあげ、肩に注射針が「ブスッ」と垂直に突き刺さる。この「筋肉注射」は長年、ある事情があって日本国内ではなじみがなかった。4月以降、高齢者を皮切りに始まる予定の一般人への集団接種では、この注射の方法がちょっとした「波乱の要因」になるかもしれない。 注射の打ち方にはおおむね、皮内注射、皮下注 コロナワクチンは痛い? なぜ筋肉注射?
コロナからの救命 ステロイド集中療法に光明 新型コロナ 編集委員 科学&新技術 1月17日 病気と縁がなく医学に疎い人でも、ステロイドという薬の名を聞いたことがあるだろう。発見から70年ほどたつ抗炎症薬が今、新型コロナウイルス感染症の救命につながると注目が集まる。国内流行「第3波」で急変する患者を前に臨床現場の医師たちが期待を寄せるのは、何もバイオ技術を駆使した医薬品や最新の救命装置とは限らない。 ステロイドは副腎皮質ホルモンの一種。米国などの研究者3人が関節リウマチの研究を進めるなか コロナからの救命 ステロイド集中療法に光明
「ワクチン後進国」招いた医療行政の病理 編集委員 Nikkei Views 12月30日 新型コロナウイルスのワクチン開発が1年足らずという記録的な早さで実現した。主要国が国益をむき出しにした前代未聞の開発競争の中で、日本の存在感は小さかった。 世界保健機関(WHO)によると今、世界で研究が進む新型コロナのワクチン候補は233種類。うち最終の臨床試験(治験)に入っているのは11種類あるが、日本勢は残念ながら一つもない。 どうしてこんなことになったのか。背景を探ると日本の医療行政が抱え 「ワクチン後進国」招いた医療行政の病理