パソコン生んだ名門研究所、ゼロックス「寄贈」の理由 ネット・IT 北米 6月4日 米シリコンバレーのコンピューター歴史博物館が「伝説のアルトと最先端の研究」と題した講演会を催したのは4月26日のことだ。パーソナルコンピューターの生みの親として知られるアラン・ケイ氏らが登壇し、かつて所属したパロアルト研究所の思い出話に花を咲かせた。 パロアルト研は1970年に米ゼロックスがシリコンバレーで設立し、世界初のパソコンと呼ばれたアルトを73年に開発した。米アップルのスティーブ・ジョブ パソコン生んだ名門研究所、ゼロックス「寄贈」の理由
セブンとソニーの対話術 アクティビストから逃げるな 株主総会 企業統治 小平 龍四郎 Think! 株式 小売り・外食 編集委員 5月28日 株主の立場から企業の経営や財務戦略など、さまざまな注文をつけるアクティビズム。日本の企業社会のありふれた風景となった。25日開催のセブン&アイ・ホールディングスの株主総会は、日本企業がいかにアクティビスト(物言う株主)と向き合うべきかを示すひとつの事例を示した。 セブン&アイによれば、米有力ファンドのバリューアクト・キャピタルと初めて接触したのは、2020年11月。30回以上にわ セブンとソニーの対話術 アクティビストから逃げるな
世界の製造業「地産地消」へ 経済安保最優先の行く末 G7広島サミット 太田 泰彦 Think! コラム 編集委員 5月21日 5月18日午前、主要7カ国首脳会議(G7サミット)の開催に先立ち、世界の半導体メーカーのトップが首相官邸にそろい踏みした。 米国からインテル最高経営責任者(CEO)のパット・ゲルシンガー氏、韓国からはサムスン電子CEOのケ・ヒュン・キュン氏、さらに台湾積体電路製造(TSMC)のマーク・リュウ董事長……。これほどの大物が一堂に会すのは、そうあることではない。 招いた側の岸田文雄首相には、外国企業に 世界の製造業「地産地消」へ 経済安保最優先の行く末
ソニーやCTC・富士通・リコーなどが投じた10億円の未来 田中 陽 徳島 コラム 編集委員 5月7日 四国の山間地、徳島県神山町で4月に開校した神山まるごと高等専門学校。デジタルを軸としたテクノロジーとデザインを組み合わせて起業家精神を養う私立の高専だ。1期生の入学試験の倍率は約9倍。全国から難関を突破した44人が自然豊かな学び舎(や)で学生生活をスタート。19年ぶりの高専誕生に小さな町もわき、住民も学生たちの成長を見守る。 まるごと高専の教育方針のユニークさもさることながら、学生への支援の手厚 ソニーやCTC・富士通・リコーなどが投じた10億円の未来
出戻りCEOは悲劇か 成功例が隠す退化の法則 阿部 哲也 サービス・食品 北米 4月30日 米南部フロリダ州オーランド。「夢の国」のすぐ隣に、州立刑務所を建てる構想が浮上した。 「ディズニーワールド」周辺の土地管理をめぐって、デサンティス州知事が言い出した。性的少数者や中絶に制限をかける州に反対する米ウォルト・ディズニーへの嫌がらせだ。 両者のにらみ合いは1年以上におよぶ。2022年11月にボブ・アイガー氏がディズニーの最高経営責任者(CEO)に復帰し、問題は一段とこじれた。「反ビジネ 出戻りCEOは悲劇か 成功例が隠す退化の法則
現実と仮想、接続に価値 研究進むコモングラウンド 宮内 禎一 コラム 科学&新技術 編集委員 4月23日 東京大学生産技術研究所などが2022年10月にニューヨークで開いたシンポジウムは米国の企業や大学関係者の強い関心を集めた。テーマは建築物や都市など物理空間をデジタル記述してサイバー空間とシームレスにつなぐ共通基盤「コモングラウンド」。 例えば、メーカーごとに通信やセンサーの方式が違うロボットや自律走行車は統合的な制御が難しいが、あらかじめ現実空間(環境側)にセンサーやカメラを置いて建築物、人、モ 現実と仮想、接続に価値 研究進むコモングラウンド
INPEX、中東で取締役会 「絆」維持へ不断の努力を 松尾 博文 Think! コラム 環境エネ・素材 中東・アフリカ 編集委員 4月9日 国際協力機構(JICA)イラク事務所の米田元所長は着任したバグダッドで「丸紅病院」のことを聞いて驚いた。 丸紅病院は総合商社の丸紅が1980年代にイラク全土13カ所に整備した総合病院のこと。日本製の医療機器を備えた最新施設は現地の人々の歓迎を受けた。 病院に限らない。日本企業は一大産油国であるイラクで製油所や発電所、高速道路などを次々受注し、日本にとって最大のプラント輸出先だった時期もある。 INPEX、中東で取締役会 「絆」維持へ不断の努力を
「社会善」を効率よく エーザイ、熱帯病対策への挑戦 西條 都夫 コラム 東南アジア 編集委員 4月2日 エーザイは昨年の株主総会で「会社の憲法」ともいえる定款を変えた。「本会社は……人々の健康憂慮の解消と医療較差の是正という社会善を効率的に実現する」という項目を、経営理念として付加したのだ。 昨今はやりのパーパスの一種だが、この文言から浮かび上がるのは独自の企業観だ。「社会善」を志向するのは、社会的存在である企業にとって当たり前。それに加えて「企業である以上はそれを効率よく実現する必要がある」と同 「社会善」を効率よく エーザイ、熱帯病対策への挑戦
隗より始めるリスキリング 役員動けば会社も変わる 半沢 二喜 Think! コラム 3月26日 デジタルトランスフォーメーション(DX)を重要課題ととらえ、社員のリスキリング(学び直し)に力を入れる企業が日本でも増えてきた。欧米への遅れを挽回したいところだが、気になるのは経営層の関与の度合いだ。「学ぶのは社員」と考え、現場任せになっていないだろうか。 情報処理推進機構(IPA)が2022年6〜7月に日米の企業に実施したアンケート調査によると、IT(情報技術)分野に見識のある役員が3割以上い 隗より始めるリスキリング 役員動けば会社も変わる
ノリタケとスリランカの半世紀 積み上げた人材力武器に 高橋 徹 コラム 南西ア・オセアニア 編集委員 3月19日 「インド洋の真珠」と呼ばれるスリランカが深刻な経済危機に見舞われている。約70社の進出日系企業に撤退の動きも出るなか、反転攻勢をかける事例がある。高級食器のノリタケカンパニーリミテドである。 「操業は通常に戻った。現地通貨安に伴う輸入原燃料高を、完成品輸出への追い風が上回っている」。片田智之食器事業部長は足元の状況をこう説明する。 スリランカは2020年以降の新型コロナウイルス禍で観光産業が打撃 ノリタケとスリランカの半世紀 積み上げた人材力武器に