【福井健策】投稿一覧

福井健策

骨董通り法律事務所 代表パートナー/弁護士

骨董通り法律事務所 代表パートナー/弁護士

東京大学法学部卒業後、1993年に弁護士登録。コロンビア大学法学修士課程修了。2003年、骨董通り法律事務所For the Artsを設立。日本大学芸術学部・神戸大学大学院客員教授。著作に『著作権とは何か』『誰が「知」を独占するのか』など多数。国会図書館審議会・文化審議会などの委員を務める。
【注目するニュース分野】エンタテインメント・メディア、AI・ロボット法、著作権法

東京大学法学部卒業後、1993年に弁護士登録。コロンビア大学法学修士課程修了。2003年、骨董通り法律事務所For the Artsを設立。日本大学芸術学部・神戸大学大学院客員教授。著作に『著作権とは何か』『誰が「知」を独占するのか』など多数。国会図書館審議会・文化審議会などの委員を務める。
【注目するニュース分野】エンタテインメント・メディア、AI・ロボット法、著作権法

2021年

  • 映画産業には従来、厳然とした作品の公開順序がありました。映画館、DVD、有料放送、無料放送です。この間隔(窓)を適度にあけることで、収益を最大化する。そのビジネスモデルが、動画プラットフォームの覇権争いの激化の中で急速に崩されつつあります。
    「圧倒的な力を振るう配信勢に作品の作り手たちが利用されて、収益は現場に還元されない」という、各方面で声があがる「バリューギャップ問題」の、一環とも言えるでしょう。
    さてどう解決するか。ビジネス交渉、競争法制など、様々な道が模索されていますが、映画館を「それでも行きたい」イベント性と特別感を持った場所に更に進化させて行く努力も、大きな鍵になるように思います。

  • かつて天才チャプリンが、若きウォルト・ディズニーに助言しました。「自分の作品の著作権は他人の手に渡しちゃだめだ」(大野裕之)。いま、その絶対にだめなことが一斉に起こっています。渡しているのはこの国のクリエイター、相手は海外配信勢。彼らが日本で映像制作する際の契約では、全権利と作品内容のコントロールは完全に握られます。
    もちろん、そんなことは多かれ少なかれ今までもあった。しかし、まがりなりにも権利は国内にとどまっていました。
    資金が流れ込むのは良いことでしょう。ですが、数十年経ってその成果は一かけらも日本のクリエイター達には残らない。そうならない契約交渉とコンテンツ政策であって欲しいと思います。

  • 日本でも大きく報道された「外部決済などへの誘導を制限しない」という公取との合意で対象外だった、売上の7割を占めるゲーム。そこで同じ命令を勝ち取ったのですから、その点ではエピックの大勝利でしょう。では何を控訴したか。
    何よりアップルは独占企業ではないと判断されたためですね。アプリゲーム全体へのアップルのシェア55%を重視した判決ですが、エピック側は世界10億台のiPhoneはそれ自体が市場であり、アップルはそのプラットフォーム上でアプリ流通を独占しているとの主張です。
    地裁判事も、更に証拠があれば結論は変わり得ると示唆しており、その結果しだいではネット界全体への影響絶大な控訴審。注目ですね。

  • 一点付け加えたいのは、日本はその50%程度の規制で、つまり社会活動を何とか続けながら、欧米よりはるかに感染拡大を抑え込んで来たという事実です。彼らと差があるとすれば、記事も述べる通りの2点:ワクチン接種の遅れと医療体制が整わなかったこと、に思えます。
    しかしなぜでしょう。
    国民ひとりから年30万円以上もの医療費を集める医療大国であるはずの日本で、なぜ1年半以上経っても「医療のリソースを有効活用できず」、国民に更なる社会活動・経済活動の自粛を要請し続けることになったのか。
    決して責めるのではなく、将来これを繰り返さないために、検証と国民に向けた説明は必要に思えます。

  • ワクチンパスポートによる行動制限の緩和は、恐らく接種率の上昇には劇的に効くのではないでしょうか。当面の対策の軸になることは間違いないでしょう。
    一方で、海外でも個人の自由やプライバシーとの兼ね合いで賛否は激しいところです。「ワクチン八分」を生まないよう、検査の活用など代替措置も十分に用意する必要があるでしょう。もちろん、打ちたい人が打ちたいときに打てる環境の整備は大前提ですね。

  • ヌーベルバーグには完全に遅れた世代です。が、80年代にサブカル少年少女が貪るように読んだ「ぴあ」では、ベルモンド=ゴダール映画のリバイバルは常連でした。でも直感的に「同期」できた同時代のインディーズ映画や小劇場と違って、『気狂いピエロ』なんて観に行ってもやっぱり高校生には何だかわからない。それでも、行った映画館の様子や「あのピエロ」を観るんだという高揚感(そしてラストシーン!)は、鮮烈に覚えていますね。
    合掌です。

  • 交渉・協議で常に感ずるのは、自らの「エコシステム」に対するプラットフォーム達の強い自負と、囲い込み意識です。
    「我々のしくみはうまく機能しており、問題を感ずるとしたらそちらの理解不足か努力不足。正しく適応できるお手伝いをしましょう。ご無理ならほかへ」という姿勢です。ほかに移れる選択肢など乏しくなると、この姿勢が強まります。
    その「超国家」ぶりに各国の政府や企業が挑み続けるなか、リスクを背負った裁判でアップルをここまで追い込んだエピックのように、政府は継続的な調査と把握、民間は時に団体交渉や裁判をも含む戦略で、プラットフォームと我々が「幸福に共存」できる社会を目指し続けることが、大切に思えます。

  • ふうむ。まず日本でいえば芸能従事者の所得は、多くの業種に比べてむしろ低さが問題視されています(芸団協調査など)。標的にされているのはごく上位の芸能人でしょうが、果たして名指しするほどか。むしろ、「IT・SNSの影響拡大と芸能人が結びついている」と見ての締め付けという、記事の読みが正しそうですね。
    他方、不祥事で過去の出演作品が封印される事態は日本でも見られますが、あっさりそれが政府から命じられる中国の現実は強烈です。作品は一芸能人のものではなく、それを愛するファン達や、多ければ数百人という他の関係者のものですね。他の国で「作家が脱税すると小説が発禁処分になるのか」と考えると、どうでしょうか。

  • 日本の保険制度は海外から賞賛されることも多いですが、負の側面も感じます。記事の通り、過剰医療を招きやすいことですね。
    実際には保険料の形でその何倍も負担しているのに、見ための医療費が安いため、医療を割安なサービスや恩恵と感じる。その結果が、必要性が低いのに検査や治療を続ける医療依存を招くとすれば、本当に健康な人生はむしろ遠ざかりかねません。こうした記事での検証は大切ですし、医療費負担だけでなく国民の医療文化・生活観にも関わる大きな問題ですね。

  • まず、名誉棄損の方には懲役刑があります。これは「あの人は○○した」というように人の社会的評価を低下させる内容を公言する犯罪で、そういう内容を伴わない不愉快・失礼な発言は侮辱罪となります。後者が懲役を伴わないのは厳しい論評と悪口は時に区別が難しく、我々の社会に必要な公論が委縮しないようにですね。その影響はどうか。
    もうひとつ、公訴時効が短いのは問題ですが、悪質な誹謗・中傷の摘発や抑止が進まない主因はむしろ、発信者の身元が隠されていたり、(従来は)SNS運営元が削除やアカウント凍結に消極的だったり、警察が犯罪摘発に後ろ向きだったりしたためです。その部分でどういう改善ができるかが、重要ですね。