【福井健策】投稿一覧

福井健策
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骨董通り法律事務所 代表パートナー/弁護士

骨董通り法律事務所 代表パートナー/弁護士

東京大学法学部卒業後、1993年に弁護士登録。コロンビア大学法学修士課程修了。2003年、骨董通り法律事務所For the Artsを設立。日本大学芸術学部・神戸大学大学院ほか客員教授。著作に『著作権とは何か』『誰が「知」を独占するのか』など多数。内閣府知財本部・文化庁などの委員を務める。
【注目するニュース分野】エンタテインメント・メディア、知的財産法、AI・ロボット法

東京大学法学部卒業後、1993年に弁護士登録。コロンビア大学法学修士課程修了。2003年、骨董通り法律事務所For the Artsを設立。日本大学芸術学部・神戸大学大学院ほか客員教授。著作に『著作権とは何か』『誰が「知」を独占するのか』など多数。内閣府知財本部・文化庁などの委員を務める。
【注目するニュース分野】エンタテインメント・メディア、知的財産法、AI・ロボット法

2023年

  • 勉強になりました。私のイメージを言うと、チャットGPTは「優秀な秘書又はスタッフ」さんです。自分ではうまくできない、あるいは時間がかかり過ぎてしまうことを代わりにこなしてくれる存在。例えば、基本的なアウトラインを伝えるとただちにワードやエクセル・パワポを立ち上げ、オンラインで検索しながら下案を作ってくれる。電話の問合せなどに答えてくれる。
    これに対して、AppleがVRゴーグルで描き出したイメージは「自分でしたいこと」を拡張できる未来。もっと楽しいイベントや作品鑑賞の体験ができる。遠くの人ともっとビビッドにコミュニケーションできる。
    いずれも、幸福な未来につながるかの帰趨は、これからですね。

  • 約50万円。株価は少し落ちた。が、プレゼンが始まるなり、これまで使って来たVRヘッドセットとの根本的な違いに気づいたユーザーは多いでしょう。
    コントローラーが、ない。
    これまでは両手は常にコントローラーでふさがり、トリガーやボタンで操作するのが全ての基本でした。それがある限りはゲーム機の延長感はぬぐえないし、本当に自由でもない。しかし、目と指と声だけで、周辺のリアルな空間にアプリを開いて操作できるなら、いよいよSFの「あれ」です。確かにPCやスマホの先でしょう。
    果たして市場拡大がこれで来るか、その次なのかは予想できませんが、少なくとも私には十分刺激的な、今回の「one more..」でした。

  • 一気に読みました。実はマック派ではない私ですが、そしてもちろん一社だけでなし遂げられたものでもないでしょうが、それでもアップルのキセキ(軌跡/奇跡)には、驚嘆し脱帽するほかありません。
    私が専門とするコンテンツ・知財分野でも、アップルがこの間いかに何もかもを変えたかは、数々のグラフが物語っていますね。
    故ジョブズは、「創造とは既存の物ごとの結び付けに過ぎない」と語りました。その意味で、ジョブズも、そして天才創業者の後で組織を守り育てるという難事を見事にこなしたクック氏も、まさにクリエイティブであったと思います。
    今度の発表は、XR/メタバースにとっても次の起爆剤になるかも、しれませんね。

  • 危惧された事態ですが、ただ、この弁護士の方が「ChatGPTが情報源として信頼できないことが明らかになった」と供述した点は、何を今さらという感じですね。
    この点、特に過去の裁判例を引用することには、裁判においては特別な重みがあります。まして、判例法の国であるアメリカで存在しない判決を根拠にするのは、大げさに言えば存在しない法律を確認もせずに主張の中で書くのと似たようなものです。
    つまり。ChatGPT特有の問題という以前に、これは相当に論外な事態であり、生成AIがどうこう言う以前に、こういう論外の事態を防ぐためにロースクールの3年間の専門教育はあるのですね。基本の情報リテラシーの問題です。

  • おめでとうございます。世界興収の断トツ首位を走る『スーパーマリオ』(任天堂共同製作)などアニメ勢の一方で、こうした作品群が世界で評価される、「日本映画の年」の様相さえありますね。
    よく書くことですが、3年前に『パラサイト』がカンヌ・アカデミーを獲った際、日本では「日本も韓国のような作品を作らないとダメ」という、やや軽薄な論調が生まれました。文化に賞の数や売上で優劣をつける愚は言うまでもありませんが、そもそもこうした受賞の数でも日本はアジアのトップクラスであり、愛されています。
    過酷な労働環境や契約慣行など改めるべき点を改めつつ、自分たちが面白い、大切だと思う作品づくりを、大事にしたいですね。

  • 大きいニュースですね。
    『スーパーマリオブラザーズ』は公開1月半でついに世界興収は1700億円超え。早ければ今週末にも、アニメ歴代2位のあの『アナと雪の女王』の興行記録を抜き去ります。日本発のゲームが、世界中の人々の原体験となっているレガシー級のIPであることを改めて見せつけました。親子二代で鑑賞し、語り合える共通体験であることも強みです。
    プレステのゲームは「日本発」というにはとどまらない多様性を持ちますが、とはいえプレステ以外でもレガシー級のゲーム資産ならどこにも引けを取らない日本のコンテンツ界。どう広がるか、楽しみな動きですね。

  • ChatGPTが登場した時、グーグルは「検索が再発明される」という危機感から、緊急警報(コードレッド)を社内発令しました。松尾豊教授は自民党のPTで2月、「オフィス製品は全部変わる」と予言しています。
    AIに呼びかけてイメージや骨子を伝えるだけで自動的にソフトを立ち上げ、企画書やメールの下書き、業務報告のグラフ、プレゼン資料の自動作成、ウェブ会議の要約・・・まさに、その姿ですね。
    いわゆるホワイトカラー的な仕事が確実に再定義され、一方でブルーカラー的な仕事はテクノロジーでは十分に代替されず圧倒的な人手不足が続く。思っていたのとちょっと違う未来、はもう来ているのかもしれません。

  • すべてのテーマが重要ですが、ChatGPTなど生成系AIについてコメントします。
    世界ではAIをめぐって、年内にも域外適用と巨額罰金による「AI規則」を発効させる構えのEUなど強い規制派と、米日のようなより緩やかな規制派が存在していましたが、ここに来て米日国内でもAIへの様々な懸念は強まっていますね。
    注意したいのは、現在の代表的な生成系AIは欧米発で、それらAIによる日本のデータも含めた学習はほぼ海外で行われている、ということです。適用法は基本的に現地法。つまり日本国内の議論だけでは実効性は限定的で、国際ルール作りが欠かせません。まさに日本にとっては好機、といえるG7です。

  • 無事離陸すれば、この10年間で最大規模の著作権法のリフォームとなりますね。
    背景にあるのは情報爆発です。現在は万人が発信者となって何十億という作品が流通し、配信やAI、メタバースなど新しい事業が次々と生まれています。しかし現実にはそれほど膨大な作品について著作権者を探し出し、利用の許可を得るのは不可能に近い。そこで権利者不明や連絡が困難な場合に、一定の対価を支払い文化庁の確認を得ることで作品を利用できるようにする制度に期待が集まりました。同時に重要なのは、権利者の情報を集めた権利情報データベースの構築です。
    そうした点を含めて、皆のためになる良い制度にどう育てて行くか。これからが勝負ですね。

  • 他の記事にもありましたが、ChatGPTは入力情報を本国オープンAIに送っています。https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC103IO0Q3A510C2000000/
    それは今後の学習に利用されるでしょうから、個人情報、機密情報、ノウハウの入力などには十分注意が必要ですね。その意味で、各社ごとの実情に応じたガイドライン作りはたしかに鍵になります。
    ただし、あれも危ない、これも危ないとして実質何もできなくなってしまうようなガイドラインなら、無い方がいいですね。重要なリスクをしっかり防ぎながら、企業として攻めに使えるガイドライン作り。まさに法務・コンプライアンス部門の実力が試されます。