ゼレンスキー大統領、NATO加盟まで「安全保証」要求 ウクライナ侵攻 Think! ヨーロッパ 6月2日 【パリ=北松円香】ウクライナのゼレンスキー大統領は1日、ウクライナは北大西洋条約機構(NATO)への加盟と「加盟までの安全の保証」が必要だと述べた。モルドバ中部ブルボアカで開催された欧州政治共同体(EPC)の首脳会議で発言した。欧州連合(EU)への加盟についても「明確で前向きな決定」を訴えた。 EPCの首脳会議は2022年10月のプラハ開催に続き2回目。EUの枠を超えて欧州各国の連携を促すために ゼレンスキー大統領、NATO加盟まで「安全保証」要求 伊藤さゆり ニッセイ基礎研究所 経済研究部 研究理事 EUの枠を超えた欧州の連携のための枠組みとして始動したEPC。今回の招待国は47カ国。欧州におけるロシアとベラルーシの孤立が際立つ。今回、ホスト国となったモルドバは、ロシアによる侵攻後、ウクライナとともにEU加盟を申請し、昨年6月にEU加盟候補国としての地位を得た国。これら2カ国とほぼ同時にEU加盟を申請したジョージアに対しては、EUは加盟に向けた努力を認め、加盟候補国としての地位を付与する用意はあるとしながらも、「市場経済の機能改善の取り組みなど、さらなる改革の推進を求めて判断を留保した。ジョージアの大統領は、今週、欧州議会で早期の加盟候補国の地位を求める演説をしている。
伊藤さゆり ニッセイ基礎研究所 経済研究部 研究理事 EUの枠を超えた欧州の連携のための枠組みとして始動したEPC。今回の招待国は47カ国。欧州におけるロシアとベラルーシの孤立が際立つ。今回、ホスト国となったモルドバは、ロシアによる侵攻後、ウクライナとともにEU加盟を申請し、昨年6月にEU加盟候補国としての地位を得た国。これら2カ国とほぼ同時にEU加盟を申請したジョージアに対しては、EUは加盟に向けた努力を認め、加盟候補国としての地位を付与する用意はあるとしながらも、「市場経済の機能改善の取り組みなど、さらなる改革の推進を求めて判断を留保した。ジョージアの大統領は、今週、欧州議会で早期の加盟候補国の地位を求める演説をしている。
植田日銀、揺れる緩和維持シナリオ 強まる物価高に苦悩 日銀ウオッチ Think! 為替・金利 金融政策 6月2日 日銀の物価シナリオに狂いが生じている。食料品などを中心に値上げの動きが続く中、新型コロナウイルス禍後の経済再開でサービス関連の価格も上昇しつつある。6日に厚生労働省が発表する毎月勤労統計調査は2023年の春季労使交渉(春闘)の結果が初めて反映される。賃上げが想定より強ければ、物価高と相まって再び政策修正観測が高まる可能性もある。 「インフレはかなり強まっている。日銀が考えるより欧米の状況に近づい 植田日銀、揺れる緩和維持シナリオ 強まる物価高に苦悩 伊藤さゆり ニッセイ基礎研究所 経済研究部 研究理事 FRBとともにECBも「物価高は一時的」との判断からインフレ対応が遅れ、わずか1年で4%という幅の高速利上げを迫られ、不動産価格下落などを通じた金融システムへの影響が不安視される状況にある。植田日銀総裁は、4月会合後の記者会見での発言などから、拙速な引き締めで景気失速を招くリスクよりも、インフレの基調変化への金融政策の対応が遅れるリスクをとった印象だ。日本では、コスト削減努力による物価据え置きが長期にわたったからこそ、海外発の原材料等の値上がりの国内価格への転嫁、賃上げ率が、大方の予想を超える伸びとなったように思われる。サービス価格にも同様のことが起きる可能性を意識せざるを得ない。
伊藤さゆり ニッセイ基礎研究所 経済研究部 研究理事 FRBとともにECBも「物価高は一時的」との判断からインフレ対応が遅れ、わずか1年で4%という幅の高速利上げを迫られ、不動産価格下落などを通じた金融システムへの影響が不安視される状況にある。植田日銀総裁は、4月会合後の記者会見での発言などから、拙速な引き締めで景気失速を招くリスクよりも、インフレの基調変化への金融政策の対応が遅れるリスクをとった印象だ。日本では、コスト削減努力による物価据え置きが長期にわたったからこそ、海外発の原材料等の値上がりの国内価格への転嫁、賃上げ率が、大方の予想を超える伸びとなったように思われる。サービス価格にも同様のことが起きる可能性を意識せざるを得ない。
米EU、経済的威圧に「共同対抗」 中国念頭に連携強化 Think! ヨーロッパ 中国・台湾 北米 6月1日 【ブリュッセル=辻隆史】米国と欧州連合(EU)は31日、スウェーデンで開催した閣僚級協議を終えた。共同声明で中国を念頭に、敵対的な国との貿易・投資を制限する「経済的威圧」に共同で対抗する方針を示した。先端技術の軍事転用を防ぐため、企業の対外投資規制の検討も進める。 4回目となる「米EU貿易・技術評議会」は2日間の日程で開いた。米国からブリンケン国務長官やレモンド商務長官ら、EUからは通商政策担当 米EU、経済的威圧に「共同対抗」 中国念頭に連携強化 伊藤さゆり ニッセイ基礎研究所 経済研究部 研究理事 EUは、対内直接投資や国家補助金に関する審査制度など中国を念頭に置いた規制の整備を進めてきた。加盟国のリトアニアが標的となった経済的威圧への対抗措置の実施を可能にする規則案でも合意済みだ。安全保障はNATO、経済面ではバイデン政権と立ち上げた「貿易・技術評議会(TTC)」を通じて連携する米国とEUだが、IRAのE V補助金問題など懸案事項が少なからず存在する。対イランなどで、米国がドルの力を利用した金融制裁を一方的に実施し、欧州企業が影響を被ってきた。米大統領政権後は、再び米欧の溝が深まる可能性もある。ユーロの地位向上、戦略産業の戦略的自立を推進、中国との対話も継続する方針だ。
伊藤さゆり ニッセイ基礎研究所 経済研究部 研究理事 EUは、対内直接投資や国家補助金に関する審査制度など中国を念頭に置いた規制の整備を進めてきた。加盟国のリトアニアが標的となった経済的威圧への対抗措置の実施を可能にする規則案でも合意済みだ。安全保障はNATO、経済面ではバイデン政権と立ち上げた「貿易・技術評議会(TTC)」を通じて連携する米国とEUだが、IRAのE V補助金問題など懸案事項が少なからず存在する。対イランなどで、米国がドルの力を利用した金融制裁を一方的に実施し、欧州企業が影響を被ってきた。米大統領政権後は、再び米欧の溝が深まる可能性もある。ユーロの地位向上、戦略産業の戦略的自立を推進、中国との対話も継続する方針だ。
インフレに真犯人か 見過ごされた企業のもうけ 西村 博之 物価高・値上げ 米債務上限 Think! 北米 Deep Insight 本社コメンテーター 5月31日 「SALE」の札で客を誘うのは米小売業の常だ。だが今は40年ぶりのインフレのさなか。値下げ品であふれた店内は奇異に映った。 4月半ば、ニューヨーク市の大手家具チェーン「レイモア・フラニガン」での光景だ。なぜ値下げ? ベテラン店員のダニエル氏に問うと意外な答えが返ってきた。 「パンデミック時の品不足で値上げしたら利幅が広がり、供給難が和らいでくると想定外にもうけたからさ」。親切にこうもささやく。「 インフレに真犯人か 見過ごされた企業のもうけ 伊藤さゆり ニッセイ基礎研究所 経済研究部 研究理事 国内物価の押し上げ要因としての企業の利益確保の動きはECBも神経を尖らせている。米国とユーロ圏のインフレの原因、持続力、見通しをテーマとするECBのシュナベール理事の講演資料の12ページ目のGDPデフレーターへの寄与度を比較したスライドからは、https://www.ecb.europa.eu/press/key/date/2023/html/ecb.sp230420~661bd5928c.en.pdf米欧ともに利益の確保が物価押し上げ要因となったことと、押し上げ幅は米国以上にユーロ圏が大きかったことがわかる。
伊藤さゆり ニッセイ基礎研究所 経済研究部 研究理事 国内物価の押し上げ要因としての企業の利益確保の動きはECBも神経を尖らせている。米国とユーロ圏のインフレの原因、持続力、見通しをテーマとするECBのシュナベール理事の講演資料の12ページ目のGDPデフレーターへの寄与度を比較したスライドからは、https://www.ecb.europa.eu/press/key/date/2023/html/ecb.sp230420~661bd5928c.en.pdf米欧ともに利益の確保が物価押し上げ要因となったことと、押し上げ幅は米国以上にユーロ圏が大きかったことがわかる。
EUと米国、生成AI規制を協議 経済安保は連携確認 Think! ヨーロッパ 北米 AI 5月31日 【ブリュッセル=辻隆史】欧州連合(EU)は30日、スウェーデンで米国と閣僚級会合を開いた。31日までの会合では生成AI(人工知能)をめぐるルールづくりについて話し合う。中国やロシアを念頭に、先端技術などの輸出規制といった経済安全保障では連携を確認する。 2日間の日程の「米EU貿易・技術評議会」には、米国からブリンケン国務長官やレモンド商務長官、タイ米通商代表部(USTR)代表が参加する。EU側は EUと米国、生成AI規制を協議 経済安保は連携確認 伊藤さゆり ニッセイ基礎研究所 経済研究部 研究理事 米EU関係はトランプ政権期に戦後最悪と言われるほど悪化した。「米EU貿易技術評議会(TTC)」は、バイデン政権発足後の21年6月に、「世界貿易、経済技術的課題へのアプローチを調整し、共通の価値に基づく大西洋間の貿易と経済関係の深化」を図るフォーラムとして立ち上げたもので、閣僚級会合は、今回が4度目。 TTCは、インド太平洋地域のIPEF同様、 FTAの要素を含まないため、当初の期待は高くはなかったが、対ロシア制裁の輸出規制を検討に際して機能した他、進行技術での規制や規格協力、半導体供給網の強靭化など具体的取り組みも進展している。企業レベルの緊密な関係がフォーラムを支えているようだ。
伊藤さゆり ニッセイ基礎研究所 経済研究部 研究理事 米EU関係はトランプ政権期に戦後最悪と言われるほど悪化した。「米EU貿易技術評議会(TTC)」は、バイデン政権発足後の21年6月に、「世界貿易、経済技術的課題へのアプローチを調整し、共通の価値に基づく大西洋間の貿易と経済関係の深化」を図るフォーラムとして立ち上げたもので、閣僚級会合は、今回が4度目。 TTCは、インド太平洋地域のIPEF同様、 FTAの要素を含まないため、当初の期待は高くはなかったが、対ロシア制裁の輸出規制を検討に際して機能した他、進行技術での規制や規格協力、半導体供給網の強靭化など具体的取り組みも進展している。企業レベルの緊密な関係がフォーラムを支えているようだ。
中国、「多極世界」を盾に 無秩序な新秩序到来も G7広島サミット Think! 中国・台湾 北米 5月24日更新 主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)が開幕した19日。中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席はかつての唐の都、西安市で「中国+中央アジア5カ国」首脳会議に臨んでいた。 大唐帝国の繁栄をほうふつとさせる歓迎式典、各国首脳を導き歩く習氏の姿――。「超大国」風の演出が続く中、習氏は共同会見でこう訴えた。「100年に1度の変革の時が来た。世界、時代、歴史の変化がかつてない形で展開する」 その見立てを習 中国、「多極世界」を盾に 無秩序な新秩序到来も 伊藤さゆり ニッセイ基礎研究所 経済研究部 研究理事 インドのモディ首相は、広島サミットの後、バイデン大統領が政府債務上限引き上げ問題で断念したパプア・ニューギニアと豪州の訪問を予定通り行い、両国で厚遇を受けた。豪州でのインド系住民を集めた集会は、ロックスターのような熱気を放っていたというのが豪州、インドのメディアの報じ方だ。アルバニージー首相との蜜月ぶりも際立った。他方、G7期間中、中東ではアラブ連盟のサミットが開催、ゼレンスキー大統領も対面参加した。議長国サウジアラビアのムハンマド皇太子は、ロシアとウクライナの仲介にも意欲を示しているという。米中の対立に目を奪われがちだが、その間隙をつく形で、新興大国もそれぞれ影響力の拡大に動いている。
伊藤さゆり ニッセイ基礎研究所 経済研究部 研究理事 インドのモディ首相は、広島サミットの後、バイデン大統領が政府債務上限引き上げ問題で断念したパプア・ニューギニアと豪州の訪問を予定通り行い、両国で厚遇を受けた。豪州でのインド系住民を集めた集会は、ロックスターのような熱気を放っていたというのが豪州、インドのメディアの報じ方だ。アルバニージー首相との蜜月ぶりも際立った。他方、G7期間中、中東ではアラブ連盟のサミットが開催、ゼレンスキー大統領も対面参加した。議長国サウジアラビアのムハンマド皇太子は、ロシアとウクライナの仲介にも意欲を示しているという。米中の対立に目を奪われがちだが、その間隙をつく形で、新興大国もそれぞれ影響力の拡大に動いている。
G7の「結束」生かす道筋示せるか 岸田外交、第2章へ 池内 新太郎 G7広島サミット Think! Nikkei Views 編集委員 5月23日 広島での主要7カ国首脳会議(G7サミット)は、議長を担った岸田文雄首相の狙いを超えたインパクトを内外に与えたのは間違いないだろう。 戦時下の自国を離れて駆けつけたウクライナのゼレンスキー大統領は軍事支援の強化を取り付け、ロシアの侵攻に中立的立場を保つインドなどの首脳とも直談判に及んで、強烈な印象を残した。 広島平和記念資料館(原爆資料館)を訪れ、慰霊碑への献花後に原爆ドームを背景に写真に収まった G7の「結束」生かす道筋示せるか 岸田外交、第2章へ 伊藤さゆり ニッセイ基礎研究所 経済研究部 研究理事 G7が「愛されない指導者のためのクラブ」であることは、米調査会社のモーニングコンサルタントの世界リーダーの支持率トラッカーからもわかる。同社の最新の調査結果では、G7の最高はメロー二伊首相の49%。以下、バイデン米大統領42%、トルドー加首相39%、ショルツ独首相34%、スナク英首相33%、岸田首相31%と続き、マクロン仏大統領が25%で最低。調査対象22か国で最も支持率が高いのは広島サミットでも存在感を発揮したモディ印首相の78%。同首相は広島の後、バイデン大統領が中止したパプア・ニューギニア、豪州を訪問、外交的な影響力を見せつけ、国威発揚と国内の支持固めにつなげようとしている。
伊藤さゆり ニッセイ基礎研究所 経済研究部 研究理事 G7が「愛されない指導者のためのクラブ」であることは、米調査会社のモーニングコンサルタントの世界リーダーの支持率トラッカーからもわかる。同社の最新の調査結果では、G7の最高はメロー二伊首相の49%。以下、バイデン米大統領42%、トルドー加首相39%、ショルツ独首相34%、スナク英首相33%、岸田首相31%と続き、マクロン仏大統領が25%で最低。調査対象22か国で最も支持率が高いのは広島サミットでも存在感を発揮したモディ印首相の78%。同首相は広島の後、バイデン大統領が中止したパプア・ニューギニア、豪州を訪問、外交的な影響力を見せつけ、国威発揚と国内の支持固めにつなげようとしている。
金融センター、カギは人材力 シンガポールに劣後の必然 Think! 金融機関 5月22日更新 シンガポールの銀行最大手、DBSグループ・ホールディングスは2022年、融資先も巻き込んだ詳細な脱炭素計画を作るにあたって、新たなCSO(チーフ・サステナビリティ・オフィサー)を雇い入れた。白羽の矢を立てたのは、オランダのINGグループでアジアの環境金融の責任者を務めていたヘルゲ・ミュンケル氏。欧州や米国、アジアの銀行業界で20年以上、豊富な経験を積んだことを評価した。 世界中から最良の人材 金融センター、カギは人材力 シンガポールに劣後の必然 伊藤さゆり ニッセイ基礎研究所 経済研究部 研究理事 Z/yenが年2回作成するグローバル金融センターのランキングの最新版(23年3月)では、NYがトップ、ロンドンが第2位、シンガポールが第3位、香港が第4位、東京は21位に沈んだ。米中の主要都市が上位に位置する他、英国のEU離脱で業務や人材の移管先となった欧州の金融都市の評価が上がった結果だ。都市国家のシンガポールは、グローバルなビジネス拠点化を目指す国家戦略に加えて、多民族・多言語国家で成長著しいASEAN、インドに近接する強みがあり、国際性では日本は太刀打ちできない。東京市場の地位向上では、国際性で競い合う以上に、日本経済、円の市場としての魅力を高めることが重要だろう。
伊藤さゆり ニッセイ基礎研究所 経済研究部 研究理事 Z/yenが年2回作成するグローバル金融センターのランキングの最新版(23年3月)では、NYがトップ、ロンドンが第2位、シンガポールが第3位、香港が第4位、東京は21位に沈んだ。米中の主要都市が上位に位置する他、英国のEU離脱で業務や人材の移管先となった欧州の金融都市の評価が上がった結果だ。都市国家のシンガポールは、グローバルなビジネス拠点化を目指す国家戦略に加えて、多民族・多言語国家で成長著しいASEAN、インドに近接する強みがあり、国際性では日本は太刀打ちできない。東京市場の地位向上では、国際性で競い合う以上に、日本経済、円の市場としての魅力を高めることが重要だろう。
世界の製造業「地産地消」へ 経済安保最優先の行く末 経営の視点 G7広島サミット 太田 泰彦 Think! コラム 編集委員 5月21日 5月18日午前、主要7カ国首脳会議(G7サミット)の開催に先立ち、世界の半導体メーカーのトップが首相官邸にそろい踏みした。 米国からインテル最高経営責任者(CEO)のパット・ゲルシンガー氏、韓国からはサムスン電子CEOのケ・ヒュン・キュン氏、さらに台湾積体電路製造(TSMC)のマーク・リュウ董事長……。これほどの大物が一堂に会すのは、そうあることではない。 招いた側の岸田文雄首相には、外国企業に 世界の製造業「地産地消」へ 経済安保最優先の行く末 伊藤さゆり ニッセイ基礎研究所 経済研究部 研究理事 タイトルにある「地産地消」はEUでは「戦略的自立」と称する。ここで紹介されるCBAMの他にも、米国のIRAのEV補助金に反発したEUが、実は研究開発等にはIRAに匹敵する補助金枠を有する上に、コロナ対応でグリーン、デジタル投資を促進する「復興基金」を創設、さらにクリーン技術への補助金規則を緩和し、梃入れしようとしている。半導体でも欧州版CHIPS法をまとめた。一方、欧州の大企業は中国で展開するビジネスを拡大しつつ、リスク削減のためにその他地域と分離する「中国化」を進める傾向が観察される。世界の供給網の北米、EU、中国の3極化の流れに、日本がどう食い込んで行くのか問われていると感じる。
伊藤さゆり ニッセイ基礎研究所 経済研究部 研究理事 タイトルにある「地産地消」はEUでは「戦略的自立」と称する。ここで紹介されるCBAMの他にも、米国のIRAのEV補助金に反発したEUが、実は研究開発等にはIRAに匹敵する補助金枠を有する上に、コロナ対応でグリーン、デジタル投資を促進する「復興基金」を創設、さらにクリーン技術への補助金規則を緩和し、梃入れしようとしている。半導体でも欧州版CHIPS法をまとめた。一方、欧州の大企業は中国で展開するビジネスを拡大しつつ、リスク削減のためにその他地域と分離する「中国化」を進める傾向が観察される。世界の供給網の北米、EU、中国の3極化の流れに、日本がどう食い込んで行くのか問われていると感じる。
インドのモディ首相、G7・中ロ「両陣営と連携」 単独会見 G7広島サミット 特報 Think! 南西ア・オセアニア 5月19日 ■G7で新興・途上国の優先事項を議題に提唱 ■「国益に基づき世界中のパートナーと関わり」 ■ウクライナ和平の仲介役に意欲を示す インドのモディ首相、G7・中ロ「両陣営と連携」 単独会見 伊藤さゆり ニッセイ基礎研究所 経済研究部 研究理事 モディ首相は、広島の後、パプアニューギニアを訪れて太平洋諸島フォーラムに参加、その後、オーストラリアを訪問する。バイデン大統領が債務上限問題への対応のためにキャンセルした2か国への訪問をモディ首相は予定通り行う。国際通貨基金(IMF)が年2回更新する「世界経済見通しデータベース」の最新版は2028年までの予測が示されている。名目ドルベースのGDPを比較すると、かつてアジアで圧倒的な大国だった日本は、2010年に中国に追い越され、その差は拡大し続けてきたが、2027年にはインドと10か国からなるASEANの合計の経済規模が日本を上回る。アジアに生じている変化は、中国の大国化だけではない。
伊藤さゆり ニッセイ基礎研究所 経済研究部 研究理事 モディ首相は、広島の後、パプアニューギニアを訪れて太平洋諸島フォーラムに参加、その後、オーストラリアを訪問する。バイデン大統領が債務上限問題への対応のためにキャンセルした2か国への訪問をモディ首相は予定通り行う。国際通貨基金(IMF)が年2回更新する「世界経済見通しデータベース」の最新版は2028年までの予測が示されている。名目ドルベースのGDPを比較すると、かつてアジアで圧倒的な大国だった日本は、2010年に中国に追い越され、その差は拡大し続けてきたが、2027年にはインドと10か国からなるASEANの合計の経済規模が日本を上回る。アジアに生じている変化は、中国の大国化だけではない。
伊藤さゆり
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 研究理事
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 研究理事
早稲田大学政治経済学部卒業後、日本興業銀行(現・みずほ銀行)を経て、ニッセイ基礎研究所入社、2019年7月から現職。修士(商学・早稲田大学)。早稲田大学商学学術院非常勤講師兼務。日本EU学会理事。主な著書に著書に『沈まぬユーロ』(共著、文眞堂)、『EU分裂と世界経済危機 イギリス離脱は何をもたらすか』(NHK出版新書)、『EUは危機を超えられるか 統合と分裂の相克』(共著、NTT出版)など
【注目するニュース分野】欧州経済、国際経済・金融
早稲田大学政治経済学部卒業後、日本興業銀行(現・みずほ銀行)を経て、ニッセイ基礎研究所入社、2019年7月から現職。修士(商学・早稲田大学)。早稲田大学商学学術院非常勤講師兼務。日本EU学会理事。主な著書に著書に『沈まぬユーロ』(共著、文眞堂)、『EU分裂と世界経済危機 イギリス離脱は何をもたらすか』(NHK出版新書)、『EUは危機を超えられるか 統合と分裂の相克』(共著、NTT出版)など
【注目するニュース分野】欧州経済、国際経済・金融