【楠木建】投稿一覧

楠木建
楠木建

楠木建

一橋ビジネススクール特任教授

一橋ビジネススクール特任教授

1992年一橋大学大学院商学研究科博士課程修了。同大商学部助教授、同大学院国際企業戦略研究科准教授などを経て、2010年一橋ビジネススクール国際企業戦略専攻教授。専攻は競争戦略論。主な著書に「ストーリーとしての競争戦略:優れた戦略の条件」「逆・タイムマシン経営論」などがある。「新聞・雑誌は寝かせて読め」が持論。
【注目するニュース分野】経営戦略

1992年一橋大学大学院商学研究科博士課程修了。同大商学部助教授、同大学院国際企業戦略研究科准教授などを経て、2010年一橋ビジネススクール国際企業戦略専攻教授。専攻は競争戦略論。主な著書に「ストーリーとしての競争戦略:優れた戦略の条件」「逆・タイムマシン経営論」などがある。「新聞・雑誌は寝かせて読め」が持論。
【注目するニュース分野】経営戦略

2023年

  • スマートフォン決済のように価値の差別化が難しい業界では、初期の段階は顧客への「出血サービス」でユーザーの数を増やす競争がしばらく続く。しかしそれだけでいずれもたなくなる。利便性の一部を落としてでも将来の利益につながるようなサービスの仕様変更が必要になる。

  • 平屋は日本の生活の成熟を象徴しています。

  • 何が原因で何が結果か、因果の見極めが経営力の根幹にある。私見では、この点で任天堂は優れている。映画のヒットは結果。競争力の原因は他社と一線を画したゲーム事業の競争戦略にある。先発投手(ゲーム)が試合をつくるからこそ、中継ぎ(映画)が有効に機能する。ようするに順番の問題。多くの経営判断の失敗は原因と結果を取り違えることによって起きる。

  • 人権・環境問題を横においても(大いに問題があると思うが)、現在のSHEINの事業の持続性には疑問がある。SHEINのやり口はいずれターゲットの若者から飽きられるのではないか。

  • アンバサダーを活用したワークマンの戦略は見事なものだが、「女性衣料やキャンプ用品の商品戦略や企業の情報発信などに対する助言」は社外取締役の仕事としては二次的なもの。長期的な企業価値を高めるために執行をチェックするガバナンスを効かせるのが本来の役割。こうした社外の人材は、社外取締役よりもアドバイザー契約で助言の仕事に専念してもらった方が良いのではないか。

  • 成長追求→新しく生まれる機会をとらえて新規事業に進出→事業ポートフォリオが横に広がる→経営が非効率に→事業分割――ここまではよくあるパターンを辿っているわけですが、これからに注目です。問題の焦点は分割した事業が競争の中で業績を挙げられるかということにあります。それぞれの事業が中国でもそれなりに成熟し、従来の機会の追い風だけではどうにもならない状況になっています。中核にあるEC以外の事業の競争戦略が問われます。言い換えると、いよいよ個々の事業を担当する経営者の力量次第だということです。

  • 1.「重要なのは良いビジネス、適切な価格、良い経営への投資だ」ーーこれ以上ないほど当たり前の話なのですが、それがいちばん難しい。多くの機関投資家がなぜこの基本からズレてるのか。そこを考えると投資業の本質が見えてくるように思います。
    2.「バークシャーと(事業が)非常に似ているため理解しやすい」ーーここに本件のキモがあると思います。日本の総合商社という形態は世界でも特異なものですが、言われてみればバークシャーと似ています。さすがの慧眼です。
    3.バフェット氏は商社以外の日本企業にも注目しているコメントしています。究極のバリュー投資家のエンゲージメントは日本にとって重要な刺激になるはずです。

  • 昭和時代は霞が関のキャリア官僚が就職先として「エライ」ということになっていました。そのころはきっと志望者が多かったのだと思います。日本も成熟してそうした「就職先序列」のようなものが相対的に希薄になりました。キャリア官僚の志望者は減っても、昭和と比べて公務で公共の福祉の増進に貢献したいという内発的な動機でキャリア官僚になろうという人が志望しているのではないかと推察します。だとすればイイことです。

  • 僕はシュークリームがスキなのですが、このところ卵を使うカスタードクリームの供給が減っているようで、店頭でも欠品をよく目にします。ま、消費者としては一時的に我慢すればイイだけの話なのですが。

  • 素材産業は時間軸を長くとった事業開発が必要になります。その点で東レは極めて長期視点に立った経営で手本となる会社なのですが、一方で出来上がった事業については収益管理が甘くなるという面があります。裏を返せば伸びしろがある。これからはROICを基準にした経営で長期の成長と利益を同時に達成する企業に進化すると期待しています。