【白井さゆり】投稿一覧
2023年
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共通通貨を導入したほうが、為替取引コストが減らせるため貿易・金融取引が活発になるという調査があります。しかし、ユーロの成立を振り返ってみると、当時の最強通貨であるドイツマルクがユーロ創設に加わったことがユーロの価値を支えユーロの利用をユーロ圏以外にも広げられた面があります。マクロ経済が安定し世界の投資家が信頼する国の通貨が加わることが、通貨の信用の維持に重要だと思います。独自の通貨がなくなると独自の金融政策ができなくなる点も検討が必要でしょう。金融包摂や弱者への支援が目的ですと、銀行口座をもてない人が多いと思いますので、電子マネーの普及やCDBCの発行などを検討することが考えられると思います。
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中国経済、昨年からのゼロコロナ対策、12月は規制緩和のもとでの感染症の急増で消費が低迷した。不動産投資の減少も大きく経済を下押しした。人の移動の解禁により世界では中国人観光客の訪問を期待する声が高まっているが、日本を始めコロナ感染を防止するために水際対策をしたい国も多いようです。日本では昨年秋から外国人訪問客が急速に増えており、コロナ前の4割程度になったようです。ただ韓国や台湾や米国からが中心で、コロナ危機前の状態に近づくには中国人観光客が増えることが期待されます。今年は欧米の景気減速が見込まれるので、中国で感染が収束すればその後の消費のリバウンドなど中国経済の拡大に期待する見方が増えている。
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10-12月はロックダウンやその撤廃による感染拡大で、予想通りの景気減速になった。先日、中国の医療・経済の専門家との討論会に招待されオンラインで参加したが、ワクチン接種は増えていることや人の命の方が大事という判断でのゼロコロナ対策が正しかったとする中国在住の専門家の意見が多かった。ただし経済的コストは非常に大きく対応の緩和が必要になったとも指摘していた。今年春節で人の移動が増え感染拡大が広がることへの懸念を海外専門家が表明すると、タイミングは正しいとのことだった。人口が大きく医療現場の逼迫もあり世界でもかなり厳しい対応をしてきたのではないかとの私の指摘には、他国でも似た政策をしたとの意見でした
白井さゆり
慶應義塾大学総合政策学部 教授
慶應義塾大学総合政策学部 教授
国際派エコノミスト。国際通貨基金(IMF)エコノミストや日銀審議委員を歴任。金融政策や国際金融に精通し、脱炭素・ESGに詳しい。多数の海外メディアに英語で情報発信し多くの国際会議で講演。パリ政治学院客員教授、アジア開発銀行研究所の客員研究員も務めた。2020-21年には英国のESGスチュワードシップサービス会社EOS at Federated Hermes上級顧問を兼任。米コロンビア大博士(経済学)。
【注目するニュース分野】金融政策、ESG投資・経営、国際経済
国際派エコノミスト。国際通貨基金(IMF)エコノミストや日銀審議委員を歴任。金融政策や国際金融に精通し、脱炭素・ESGに詳しい。多数の海外メディアに英語で情報発信し多くの国際会議で講演。パリ政治学院客員教授、アジア開発銀行研究所の客員研究員も務めた。2020-21年には英国のESGスチュワードシップサービス会社EOS at Federated Hermes上級顧問を兼任。米コロンビア大博士(経済学)。
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