【山口真一】投稿一覧

山口真一
山口真一

山口真一

国際大学グローバル・コミュニケーション・センター 准教授

国際大学グローバル・コミュニケーション・センター 准教授

1986年生まれ。2015年に慶應義塾大学にて博士(経済学)を取得、国際大学助教等を経て20年より現職。専門は計量経済学、ネットメディア論、情報経済論。主な著作に『正義を振りかざす「極端な人」の正体』(光文社)、『なぜ、それは儲かるのか』(草思社)等。東京大学客員連携研究員、早稲田大学ビジネススクール兼任講師、シエンプレ株式会社顧問等も務める。
【注目するニュース分野】ネットメディア論、ソーシャルメディア、情報経済論

1986年生まれ。2015年に慶應義塾大学にて博士(経済学)を取得、国際大学助教等を経て20年より現職。専門は計量経済学、ネットメディア論、情報経済論。主な著作に『正義を振りかざす「極端な人」の正体』(光文社)、『なぜ、それは儲かるのか』(草思社)等。東京大学客員連携研究員、早稲田大学ビジネススクール兼任講師、シエンプレ株式会社顧問等も務める。
【注目するニュース分野】ネットメディア論、ソーシャルメディア、情報経済論

2023年

  • ロボット・アバターやAIは、「仕事が奪われる」という文脈で語られることが多いです。しかし既に日本で労働力不足が叫ばれ、今後少子化で状況が深刻になっていく中、テクノロジーによって生産性を向上させることは不可欠です。そのためのポジティブなツールなのは間違いありません。
    この変化はあらゆる産業に起きます。最も自然に近い農業でも、ITを活用したスマート農業が進んでいます。背景には、農業従事者数の激減があり、2040年には2015年と比して30%しか農業従事者数がいないと予測されています。

  • 生成AIは要約が非常に得意なので、有効活用の1つといえます。仕事が奪われると表現する人もいますが、むしろ業務効率化によって残業が減り、他の創造的な仕事をできるようになるといえるでしょう。
    既に、ベンチャー企業だけでなく、パナソニックコネクトや伊藤忠のような大企業でも導入が進んでいます。AIの効果的な活用を実装できた企業は、大きく飛躍するでしょう。一方、誤情報リスクや情報漏洩リスクがあるので、全社員が従う適切なガイドラインの作成は欠かせません。

  • パナソニックコネクトがChatGPTの全社導入を発表してから3ヶ月経つ中で、導入企業は日に日に増えています。期待されるのは生産性の向上だけでなく、これまで自社では出てこなかったような創造的なアイディアの創出もあります。一方で、情報漏洩リスクや、質問に自然に誤情報で返してくるなど、課題もあります。
    重要なのは活用することではなく、「全社員が適切に活用」することです。その意味で、記事中の伊藤忠のようにガイドラインを策定し、周知するのは意義があります。禁止行為だけでなく、何に気をつけるべきか、どのように活用すると効果的か、なども内部で共有されていくべきでしょう。

  • パナソニックコネクトがChatGPTの全社導入を発表したように、生成AIの導入はどんどん進んでいます。狙いとしては、生産性の向上はもちろん、プログラム開発支援など、AIの得意な分野での活用などもあります。
    一方、記事内にあるように、機密情報の漏洩や、知的財産侵害などのリスクがあります。また、AIはナチュラルに誤情報を言ってくるので、出てきた情報の最終確認を人の手でするのは必須となります。
    リスクを最小限に抑えて利便性を最大限享受するには、社内でしっかりとしたルールを作り、周知することが欠かせません。

  • 例えばGE社は、自社の航空機エンジンにIoTセンサーを取り付けることで、エンジン状況をリアルタイムでモニタリングし、障害状況等を解析し続けています。収集されたデータからトラブルの発生個所や、メンテナンスを必要とする箇所を着陸前に知ることができるようになり、整備時間の短縮、運航遅延防止に繋がりました。これにより、保守費用の削減に成功した他、航空機全体のメンテナンスも受託しています。
    ものづくりは重要ですが、情報社会においては、情報やサービスを上手く取り扱い、新たなビジネスモデルを構築することが大きな利益に繋がります。

  • 著名で多様なビジネスをしているマスク氏ですが、その中心となっているのがテスラなのはずっと変わっていません。Twitter買収時は、マスク氏がテスラに集中しなくなるのではないかという懸念から、テスラの株価が大幅に下落しました。このことは、マスク氏がTwitterCEOを辞めた方が良いかどうか、投票を開催したことにも繋がっていると指摘されています。一方、今回のAIはテスラとも親和性が高く、投資家の理解も得やすいでしょう。

  • これまで巨大IT企業は、好待遇を背景に優秀な人材をかき集めてきました。あるシリコンバレーの大手IT企業の人が辞めて、転職先が別の大手IT企業などというのはよくある話で、業界内で苛烈な人材の奪いあいとなっていたわけです。
    しかし今、IT業界全体として、コロナバブルが弾けて人員削減に乗り出しています。例えばMetaは、コロナ前に比べて従業員数は約2倍に膨れ上がっているので、人員削減は必然でしょう。これは、今まで大手IT企業内で取り合っていた優秀な人材が市場に放たれることを意味します。中小のIT企業や異業種の企業が、優秀な人材を獲得するまたとない機会ということで、人材争奪戦が始まっています。

  • コミュニケーション研究の分野では、人は専門家の意見よりも、交流が多い身近な人からの情報の方が遥かに信頼しやすいことが分かっています。この調査もまさにそのような結果を示しています。
    だからこそ、現代の主流マーケティング戦略といわれるバイラルマーケティングが生きます。これはクチコミを介して多くの人に広まるようにするマーケティング手法です。インフルエンサーを活用するときも、マスメディアを活用するときも、人に伝えたくなったり紹介したくなったりするような仕掛けを入れることが重要です。

  • 記事にない視点として、フェイク画像の蔓延問題があります。昨年の静岡県水害では、AIが作成した画像を、水害の様子だとしてTwitterに投稿した人がいました。その人はただ注目を浴びたくてやったに過ぎませんでしたが、政治混乱を狙ったものや、証拠の捏造など、明確な悪意を持って作成されたAI画像が、今後急増するでしょう。
    このようなディープフェイクの民主化に対抗するには、AI検証技術の民主化が求められます。人々がそのサービスに画像をアップするとAIが作成したものである確率が表示される、などのサービスが普及することが望まれます。

  • 我々の研究では、ポイント還元キャンペーンなどで一度キャッシュレス決済を行うと、その後還元がなくなっても継続的に利用することがわかっています。
    キャッシュレスの普及は取引・管理コストを下げるだけでなく、データ利活用で生産者・消費者双方にとってより良いサービス提供に繋がることが期待されます。ポイント以外の方法含め、キャッシュレス決済の最初の一歩踏み出してもらう施策をするのが大切です。