岸田首相「誠に遺憾、厳しく注意」 長男の公邸忘年会 Think! 政治 5月25日更新 岸田文雄首相は25日、首相官邸で記者団に長男で首相秘書官の翔太郎氏を「厳しく注意をした」と語った。翔太郎氏は首相公邸で親族と忘年会を開き、賓客を招く場所などで写真撮影したと報じられた。「国民の皆さんの不信を買うようなことなら誠に遺憾だ」と述べた。 「緊張感を持って対応してもらいたい」とも発言した。更迭には直接言及しなかった。 松野博一官房長官は25日の記者会見で「報道にあるような行為は適切さを欠 岸田首相「誠に遺憾、厳しく注意」 長男の公邸忘年会 原武史 放送大学 教授 岸田派すなわち宏池会をつくった元首相の池田勇人は、公私の区別に厳格な政治家だった。池田は週末や休日になると決まって箱根の仙石原にあった別邸(近藤別荘)を訪れたが、ここを完全に私的な空間とし、家族だけの時間を過ごした。大臣や官僚、政策ブレーンらとはすぐ近くの箱根観光ホテルで会うようにした。ところがいまではオフの時間を東京とは別の場所で過ごすという習慣自体がなくなり、年末の休みに首相の一族が永田町の公邸で公然と「忘年会」を開くまでになっている。なぜ戦後政治はここまで変質してしまったのか。その一因がいわゆる世襲政治にあることは確かだが、きちんとした検証が必要ではなかろうか。
原武史 放送大学 教授 岸田派すなわち宏池会をつくった元首相の池田勇人は、公私の区別に厳格な政治家だった。池田は週末や休日になると決まって箱根の仙石原にあった別邸(近藤別荘)を訪れたが、ここを完全に私的な空間とし、家族だけの時間を過ごした。大臣や官僚、政策ブレーンらとはすぐ近くの箱根観光ホテルで会うようにした。ところがいまではオフの時間を東京とは別の場所で過ごすという習慣自体がなくなり、年末の休みに首相の一族が永田町の公邸で公然と「忘年会」を開くまでになっている。なぜ戦後政治はここまで変質してしまったのか。その一因がいわゆる世襲政治にあることは確かだが、きちんとした検証が必要ではなかろうか。
中学受験、夫婦の方針が違うと難しい? Think! 子育て 5月23日 中学受験では頻繁に「こんなはずじゃなかった」が起こりうる。偏差値やクラスの大きな変動は当然として、突然の反抗期、失速、登塾拒否など……。これらの想定外を受け止めて乗り越えるどころか、溝が深まり、負のスパイラルに家庭が巻き込まれやすいのは、往々にして「中学受験に対する夫婦のスタンス」が不一致の場合だ。 例えば、中学受験を推す側の論は「中高6年間をよりよい環境で過ごさせたい」「勉強して損はない」「私 中学受験、夫婦の方針が違うと難しい? 原武史 放送大学 教授 もう半世紀近く前に中学受験を体験した立場から申せば、この記事には当の小学6年生自身の視点が欠けている。小学6年生くらいになれば、多かれ少なかれ自我意識が芽生えてくる。親の意向に左右されるのではなく、主体的にどういう中学を受験したいかという意識は、程度の差こそあれ、必ずあるはずだ。私の場合は、進学塾で仲のよかった同級生と同じ中学に行きたいという気持ちや、通っていた公立小学校の6年生が9割以上進学する地元の公立中学校には何としても行きたくないという気持ちが非常に大きかった。12歳を「子ども」という名のもとに十把一絡げに扱うこの記事の見方には違和感を覚える。
原武史 放送大学 教授 もう半世紀近く前に中学受験を体験した立場から申せば、この記事には当の小学6年生自身の視点が欠けている。小学6年生くらいになれば、多かれ少なかれ自我意識が芽生えてくる。親の意向に左右されるのではなく、主体的にどういう中学を受験したいかという意識は、程度の差こそあれ、必ずあるはずだ。私の場合は、進学塾で仲のよかった同級生と同じ中学に行きたいという気持ちや、通っていた公立小学校の6年生が9割以上進学する地元の公立中学校には何としても行きたくないという気持ちが非常に大きかった。12歳を「子ども」という名のもとに十把一絡げに扱うこの記事の見方には違和感を覚える。
岸田首相から3メートル、和歌山襲撃が問う演説と警備 政界Zoom 岸田首相襲撃 Think! 5月12日更新 岸田文雄首相が訪れた和歌山市の演説会場での爆発事件から15日で1カ月がたつ。国政選挙中の現職首相への襲撃は民主主義の根幹を揺るがした。現地を取材した記者が改めて現場を振り返り、演説する政治家と有権者との「距離」や警備のあり方を考えた。 和歌山市の中心部から車で20分ほど離れた雑賀崎(さいかざき)漁港はのどかな港町だ。市は漁港をイタリアの景勝地、アマルフィになぞらえて夕日が美しい観光スポットとして 岸田首相から3メートル、和歌山襲撃が問う演説と警備 原武史 放送大学 教授 コロナ禍で中断しているが、平成期には天皇と皇后が被災地や福祉施設を積極的に訪れ、被災者や社会的弱者に寄り添う姿勢を見せたことはまだ記憶に新しい。コロナが収束すれば、令和の天皇と皇后も同様の活動を再開するだろう。いまや天皇を狙う過激派は皆無に等しいから、和歌山で起こったような事件は想定されず、活動に規制がかかることはないだろう。だから首相などの有力政治家と人々との間に「壁」ができると、自分たちの声に耳を傾けてくれるのは政治家よりも天皇や皇后だということになりはしないか。憲法で政治活動を禁じられた天皇(と皇后)の役割が大きくなり、ひいては政治家への不信感が芽生えるのは健全ではないと思う。
原武史 放送大学 教授 コロナ禍で中断しているが、平成期には天皇と皇后が被災地や福祉施設を積極的に訪れ、被災者や社会的弱者に寄り添う姿勢を見せたことはまだ記憶に新しい。コロナが収束すれば、令和の天皇と皇后も同様の活動を再開するだろう。いまや天皇を狙う過激派は皆無に等しいから、和歌山で起こったような事件は想定されず、活動に規制がかかることはないだろう。だから首相などの有力政治家と人々との間に「壁」ができると、自分たちの声に耳を傾けてくれるのは政治家よりも天皇や皇后だということになりはしないか。憲法で政治活動を禁じられた天皇(と皇后)の役割が大きくなり、ひいては政治家への不信感が芽生えるのは健全ではないと思う。
秋篠宮ご夫妻、英国へ出発 チャールズ国王戴冠式に参列 令和の皇室 Think! 5月4日 秋篠宮ご夫妻は4日午前、チャールズ国王の戴冠式に参列するため、英国へ向けて政府専用機で羽田空港から出発された。初の英国公式訪問で、海外王室の戴冠式参列も初めて。 午前8時半過ぎ、東京・元赤坂の赤坂御用地にある宮邸を出る際、次女の佳子さまと長男の悠仁さまが笑顔で見送られた。羽田空港では、駐日英国大使夫妻や戸倉三郎最高裁長官らが見送り、ご夫妻は一人一人とあいさつを交わして機内に入られた。 ご夫妻は4 秋篠宮ご夫妻、英国へ出発 チャールズ国王戴冠式に参列 原武史 放送大学 教授 昭和天皇は皇太子だった1921(大正10)年に訪英し、ジョージ5世ら英国王室と親しく交わった。この訪英は皇太子が通っていた東宮御学問所の卒業旅行でもあった。現上皇もまた皇太子だった53(昭和28)年に訪英し、エリザベス女王の戴冠式に出席した。この訪英は皇太子が学習院大学に在学中に行われた。どちらの訪英も、日本の若き皇太子の存在をアピールさせるねらいがあった。それに比べると今回の訪英は、還暦に近づこうとしている皇嗣夫妻によるものであり、天皇と年齢が近いぶん、両者を混同する英国人も少なくないように見える。このこと自体、「皇太子がいない」という皇室の現状を暗示していよう。
原武史 放送大学 教授 昭和天皇は皇太子だった1921(大正10)年に訪英し、ジョージ5世ら英国王室と親しく交わった。この訪英は皇太子が通っていた東宮御学問所の卒業旅行でもあった。現上皇もまた皇太子だった53(昭和28)年に訪英し、エリザベス女王の戴冠式に出席した。この訪英は皇太子が学習院大学に在学中に行われた。どちらの訪英も、日本の若き皇太子の存在をアピールさせるねらいがあった。それに比べると今回の訪英は、還暦に近づこうとしている皇嗣夫妻によるものであり、天皇と年齢が近いぶん、両者を混同する英国人も少なくないように見える。このこと自体、「皇太子がいない」という皇室の現状を暗示していよう。
大正の天皇、皇后は「不仲」 「昭和天皇拝謁記」を読む 井上 亮 Think! Nikkei Views 編集委員 5月4日 戦後の初代宮内庁長官・田島道治が書き残した昭和天皇との問答集「拝謁記」。本欄ではその面白さを3回のテーマに分けて解説していくが、3月21日公開の「戦争と安全保障」に関する天皇の発言に続いて、第2弾の今回はその「赤裸々な人物評」に焦点を当てる。 かつて「天皇は無私であり、個人的な悪口など言わない」という〝伝説〟があったが、天皇とて人間であり、人に対する好悪があって当然である。田島と2人だけの会話の 大正の天皇、皇后は「不仲」 「昭和天皇拝謁記」を読む 原武史 放送大学 教授 非常に興味深い考察だ。戦後の天皇は憲法上いっさいの政治的発言を禁じられた。首相や閣僚が天皇に会っても、自分から積極的に意見を表明することは建前上できなくなった。天皇はたまりにたまった内心の思いを、田島にぶつけていたような印象を抱く。だがこの記事でも触れているように、天皇の発言がすべて正しいわけではなく、バイアスがかかっている。例えばなぜ貞明皇后に対して、天皇は「ここまで言うかというほど」の発言をするのか。それは母親に対する鬱屈した感情の裏返しではなかったか。ソ連や共産主義に対する過度の警戒も、戦後初のメーデーで50万人が皇居前を埋め尽くしたときの恐怖に根差してはいなかったか。
原武史 放送大学 教授 非常に興味深い考察だ。戦後の天皇は憲法上いっさいの政治的発言を禁じられた。首相や閣僚が天皇に会っても、自分から積極的に意見を表明することは建前上できなくなった。天皇はたまりにたまった内心の思いを、田島にぶつけていたような印象を抱く。だがこの記事でも触れているように、天皇の発言がすべて正しいわけではなく、バイアスがかかっている。例えばなぜ貞明皇后に対して、天皇は「ここまで言うかというほど」の発言をするのか。それは母親に対する鬱屈した感情の裏返しではなかったか。ソ連や共産主義に対する過度の警戒も、戦後初のメーデーで50万人が皇居前を埋め尽くしたときの恐怖に根差してはいなかったか。
一度は乗りたいローカル線 湿原や清流の絶景、車窓から 何でもランキング Think! コラム 4月29日 新緑の中を走る短い車両。海や湿原、渓谷と変化に満ちた車窓。通勤や通学の足として地域を支える鉄路は旅人も魅了する。絶景を味わい、観光が体感できるローカル線を専門家が選んだ。 今週の専門家▽伊原薫(鉄道ライター)▽櫻井寛(フォトジャーナリスト)▽更科登(「新・駅弁ひとり旅」担当編集者)▽水津陽子(地域活性化コンサルタント)▽瀬端浩之(日本旅行鉄道プロジェクト)▽高田毅(月刊「鉄道ファン」編集長▽滑川翔太 一度は乗りたいローカル線 湿原や清流の絶景、車窓から 原武史 放送大学 教授 日本人だけで「絶景のローカル線10撰」を選ぶ時代はそろそろ終わりを迎えつつあるのではないでしょうか。これからはインバウンドの拡大とともに、外国人から見て日本のローカル線のどこに魅力を感じるのかという視点が重要になると思います。この10選には入っていませんが、四季によって風景が全く異なるJR只見線は、すでに台湾や香港、タイなどからの観光客を魅了しています。外国人の観光客が増えれば、日本人だけでローカル線の存廃を議論することの問題も浮かび上がってきます。インバウンドの拡大を見据え、あえて奥飛騨のような場所に新たな旅館を開業させる星野リゾートの戦略を見習うべきだと思います。
原武史 放送大学 教授 日本人だけで「絶景のローカル線10撰」を選ぶ時代はそろそろ終わりを迎えつつあるのではないでしょうか。これからはインバウンドの拡大とともに、外国人から見て日本のローカル線のどこに魅力を感じるのかという視点が重要になると思います。この10選には入っていませんが、四季によって風景が全く異なるJR只見線は、すでに台湾や香港、タイなどからの観光客を魅了しています。外国人の観光客が増えれば、日本人だけでローカル線の存廃を議論することの問題も浮かび上がってきます。インバウンドの拡大を見据え、あえて奥飛騨のような場所に新たな旅館を開業させる星野リゾートの戦略を見習うべきだと思います。
石橋湛山没後50年 地政学を「複線」の世界観でみる 井上 亮 Think! Nikkei Views 編集委員 4月25日 4月25日は何の日か。即答できる人はほとんどいないだろう。この日は戦前に自由主義の論陣を張り、戦後は首相も務めた石橋湛山の命日である。そして、今年は亡くなってから50年となる。 湛山は武力による対外膨張政策を批判。植民地をすべて放棄する「小日本主義」を唱え、軍国主義に反対し続けた。戦後の日本は湛山の主張通りに軍備に頼らず経済を旨として発展を遂げた。まさに警醒(けいせい)のジャーナリストであった。 石橋湛山没後50年 地政学を「複線」の世界観でみる 原武史 放送大学 教授 今日が石橋湛山没後からちょうど50年とは知りませんでした。石橋が首相になったのは1956年12月で、脳梗塞を患い、わずか2カ月あまりで辞職したため、もっと早く亡くなったようなイメージがあったからです。この記事に記された小日本主義を唱えたこと以外に、そのあまりに鮮やかな引き際もまた、後に石橋の名声を高める要因になりました。辞職後は自らの選挙区でもあった伊豆の温泉で療養します。地政学からはやや離れますが、石橋の政治や思想を考えるうえで重要なトポスは、一つは日蓮宗の総本山がある身延、もう一つは伊豆などの温泉だと思います。石橋の日記を読むと、実によく温泉地を訪れているのがわかります。
原武史 放送大学 教授 今日が石橋湛山没後からちょうど50年とは知りませんでした。石橋が首相になったのは1956年12月で、脳梗塞を患い、わずか2カ月あまりで辞職したため、もっと早く亡くなったようなイメージがあったからです。この記事に記された小日本主義を唱えたこと以外に、そのあまりに鮮やかな引き際もまた、後に石橋の名声を高める要因になりました。辞職後は自らの選挙区でもあった伊豆の温泉で療養します。地政学からはやや離れますが、石橋の政治や思想を考えるうえで重要なトポスは、一つは日蓮宗の総本山がある身延、もう一つは伊豆などの温泉だと思います。石橋の日記を読むと、実によく温泉地を訪れているのがわかります。
幕張新駅が映す千葉県鉄路の「南北問題」 開業1カ月 Think! 千葉 4月17日 JR東日本にとって千葉県内で四半世紀ぶりの新駅が開業して1カ月がたつ。京葉線の幕張豊砂駅(千葉市美浜区)には有力商業施設がすでに立地している強みがあり、週末は買い物客らで早くもにぎわいをみせる。一方、JR東は3月、県南部のローカル線の存続をめぐる問題提起に踏み切った。この県が抱え続ける「南北問題」を鉄路が端的に象徴する。 「毎日、海浜幕張駅の職場に通勤しているけど、ここのイオンモール(幕張新都心 幕張新駅が映す千葉県鉄路の「南北問題」 開業1カ月 原武史 放送大学 教授 「南北問題」と言うが、鉄道に関しては千葉県全体が抱える別の問題もある。横浜や埼玉の大宮からは新宿も池袋も渋谷もJRで一本で行けるのに対し、千葉からは池袋、渋谷に一本で行けず、新宿には一本で行けても各駅停車でしか行けない(特急「成田エクスプレス」は別)。確かに東京には行けるが、総武快速線も京葉線も地下深くにあったり、他のホームと極端に離れていたりする。千葉に向かうターミナルが長らく隅田川を越えられず、両国だった時代の「負の遺産」がまだ残っているのだ。東京の盛り場が西側の新宿や渋谷などに移ったことも、千葉県にとってはマイナス材料となった。この点に関しては、「南」も「北」もないように思われる。
原武史 放送大学 教授 「南北問題」と言うが、鉄道に関しては千葉県全体が抱える別の問題もある。横浜や埼玉の大宮からは新宿も池袋も渋谷もJRで一本で行けるのに対し、千葉からは池袋、渋谷に一本で行けず、新宿には一本で行けても各駅停車でしか行けない(特急「成田エクスプレス」は別)。確かに東京には行けるが、総武快速線も京葉線も地下深くにあったり、他のホームと極端に離れていたりする。千葉に向かうターミナルが長らく隅田川を越えられず、両国だった時代の「負の遺産」がまだ残っているのだ。東京の盛り場が西側の新宿や渋谷などに移ったことも、千葉県にとってはマイナス材料となった。この点に関しては、「南」も「北」もないように思われる。
「グレーター東京駅」境界崩す 三井不動産や三菱地所 日経産業新聞 Think! 東京 住建・不動産 4月16日 東京駅周辺の再開発が新たなステージに入った。不動産大手が京橋などで超高層ビルを相次ぎ建設する。2030年代には東京駅東側で地下鉄駅を結ぶ全長1キロメートル超の地下通路ができる。三井不動産は日本橋、三菱地所は丸の内を地盤とするが、「グレーター(広域)東京駅」が広がるにつれて街の境界線が薄まっている。 三井不動産と三菱地所は互いを「日本橋」、「丸の内」と地域名で呼び合う関係だ。時価総額はともに2兆円 「グレーター東京駅」境界崩す 三井不動産や三菱地所 原武史 放送大学 教授 この記事に出ている地図を見れば一目瞭然ですが、東京駅周辺の開発が進めば進むほど、その開発を食い止めているのは隣接する皇居だということになるでしょう。皇居の豊かな自然や森が、環境を保全していることになるわけです。そのコントラストはあまりにも鮮やかです。皇居のほかにも、赤坂御用地や新宿御苑、明治神宮など、都心で豊かな自然が保たれているところはほぼすべて皇室が関係しています。しかしいまや神宮外苑のように、皇室に関係していても不動産会社による再開発が計画され、木々が伐採されようとしているケースも生じています。令和になり、皇室のタブーは以前よりも弱まっているように思います。
原武史 放送大学 教授 この記事に出ている地図を見れば一目瞭然ですが、東京駅周辺の開発が進めば進むほど、その開発を食い止めているのは隣接する皇居だということになるでしょう。皇居の豊かな自然や森が、環境を保全していることになるわけです。そのコントラストはあまりにも鮮やかです。皇居のほかにも、赤坂御用地や新宿御苑、明治神宮など、都心で豊かな自然が保たれているところはほぼすべて皇室が関係しています。しかしいまや神宮外苑のように、皇室に関係していても不動産会社による再開発が計画され、木々が伐採されようとしているケースも生じています。令和になり、皇室のタブーは以前よりも弱まっているように思います。
首相演説会場で爆発、男を逮捕 和歌山 Think! 事件・司法 4月15日更新 15日午前11時半前、岸田文雄首相が衆院補欠選挙の応援で訪れていた和歌山市の演説会場で、発煙筒のようなものが投げ込まれ、大きな爆発音がした。首相にけがはなく、会場を車で離れた。投げ込んだとみられる男は威力業務妨害容疑で現行犯逮捕された。和歌山県警によると、男は所持していた運転免許証から兵庫県川西市の職業不詳、木村隆二容疑者(24)とみられ、確認を進めている。「弁護士が来てからお話しします」と供述 首相演説会場で爆発、男を逮捕 和歌山 原武史 放送大学 教授 昨年7月に安倍元首相の事件があり、今日またこの事件がありました。今回の事件を起こした人物が、昨年の事件を強く意識していたことはおそらく間違いないでしょう。歴史をひもとけば、1921年に原敬首相が暗殺された事件の直前には安田財閥の当主、安田善次郎が暗殺された事件があり、1932年に犬養毅首相が暗殺された5・15事件の前々年には浜口雄幸首相が狙撃された事件がありました。どちらも、先に起きた事件に触発されて後の事件が起きたことがわかっています。特に後者は5・15事件だけで終わらず、より大規模な事件を引き起こすことになります。これ以上、テロや暴力の連鎖があってはならないと強く思います。
原武史 放送大学 教授 昨年7月に安倍元首相の事件があり、今日またこの事件がありました。今回の事件を起こした人物が、昨年の事件を強く意識していたことはおそらく間違いないでしょう。歴史をひもとけば、1921年に原敬首相が暗殺された事件の直前には安田財閥の当主、安田善次郎が暗殺された事件があり、1932年に犬養毅首相が暗殺された5・15事件の前々年には浜口雄幸首相が狙撃された事件がありました。どちらも、先に起きた事件に触発されて後の事件が起きたことがわかっています。特に後者は5・15事件だけで終わらず、より大規模な事件を引き起こすことになります。これ以上、テロや暴力の連鎖があってはならないと強く思います。
原武史
放送大学 教授
放送大学 教授
1962年東京都生まれ。日本経済新聞社勤務などを経て、東京大学大学院博士課程中退。明治学院大学名誉教授。日中文化交流協会理事。講談社本田靖春ノンフィクション賞選考委員。専門は日本政治思想史。著書に『大正天皇』(毎日出版文化賞)、『滝山コミューン1974』(講談社ノンフィクション賞)、『昭和天皇』(司馬遼太郎賞)、『皇后考』、『歴史のダイヤグラム』など。
【注目するニュース分野】皇室、政治、宗教、鉄道、住宅、ジェンダー
1962年東京都生まれ。日本経済新聞社勤務などを経て、東京大学大学院博士課程中退。明治学院大学名誉教授。日中文化交流協会理事。講談社本田靖春ノンフィクション賞選考委員。専門は日本政治思想史。著書に『大正天皇』(毎日出版文化賞)、『滝山コミューン1974』(講談社ノンフィクション賞)、『昭和天皇』(司馬遼太郎賞)、『皇后考』、『歴史のダイヤグラム』など。
【注目するニュース分野】皇室、政治、宗教、鉄道、住宅、ジェンダー