「戦争を止めたら内乱に」 「昭和天皇拝謁記」を読む 井上 亮 Think! Nikkei Views 編集委員 3月21日 戦後の初代宮内庁長官を務めた田島道治が昭和天皇との対話を克明に記録した「昭和天皇拝謁記」(岩波書店)の最終第7巻が5月以降に刊行される予定だ。6、7巻は田島の日記と関連資料集なので、「拝謁記」自体はすべて刊行されている。 拝謁記の記録は田島の就任2年目の1949(昭和24)年2月から退任する53(同28)年12月まで。連合国による占領と独立した「新生日本」がスタートを切る時期であるとともに、戦後 「戦争を止めたら内乱に」 「昭和天皇拝謁記」を読む 原武史 放送大学 教授 昭和天皇拝謁記という第一級の史料は、まだ完全には読み解かれていない。その価値の一端を鋭く分析するこの記事は、読みごたえがある。憲法に規定された象徴天皇のイメージがいかに実態とかけ離れたものだったかは、この史料が余すところなく伝えている。大元帥でなくなった戦後もなお再軍備にこだわり、再軍備に消極的な吉田茂をこき下ろす天皇の生々しい言葉は衝撃的ですらある。日本国憲法によって天皇制が護持されたことにつき、昭和天皇はマッカーサーに感謝したとされるが、田島道治とのやりとりを見ていると、本音はそうではなく、戦争放棄を定めた憲法を改正したいと思っていたようにも受け取れる。
原武史 放送大学 教授 昭和天皇拝謁記という第一級の史料は、まだ完全には読み解かれていない。その価値の一端を鋭く分析するこの記事は、読みごたえがある。憲法に規定された象徴天皇のイメージがいかに実態とかけ離れたものだったかは、この史料が余すところなく伝えている。大元帥でなくなった戦後もなお再軍備にこだわり、再軍備に消極的な吉田茂をこき下ろす天皇の生々しい言葉は衝撃的ですらある。日本国憲法によって天皇制が護持されたことにつき、昭和天皇はマッカーサーに感謝したとされるが、田島道治とのやりとりを見ていると、本音はそうではなく、戦争放棄を定めた憲法を改正したいと思っていたようにも受け取れる。
新横浜駅、新たな核へ 相鉄・東急「新横浜線」開業 Think! 地域総合 神奈川 東京 関東 サービス・食品 3月19日 相模鉄道と東急電鉄が直通する「新横浜線」が18日に開業した。神奈川県央部から東京都心への利便性が高まるだけでなく、両社にとって初めて東海道新幹線への乗換駅「新横浜駅」が開業し、中部・関西方面とのアクセスが大幅に向上する。沿線の再開発にも弾みがつき、横浜駅を中心としてきた地域の人の流れが一変する可能性も出てきた。 「新横浜駅が近くなる。これからは新幹線への乗り換えで利用することが増えると思う」。新 新横浜駅、新たな核へ 相鉄・東急「新横浜線」開業 原武史 放送大学 教授 新横浜駅が便利になり、これまで以上に多くの客が新横浜で新幹線に乗り換えるようになることは、JR東海にとって本当に喜ばしいことなのだろうか。というのも、現在建設中のリニア中央新幹線は新横浜を通らず、同様に横浜線が接続する相模原市の橋本を通るからだ。新横浜が新たな神奈川の中心として発展すればするほど、そこを通らないリニアの使い勝手の悪さが浮かび上がるようでは、巨額の建設費を投入してリニアを開業させる意味がますます薄れるだろう。
原武史 放送大学 教授 新横浜駅が便利になり、これまで以上に多くの客が新横浜で新幹線に乗り換えるようになることは、JR東海にとって本当に喜ばしいことなのだろうか。というのも、現在建設中のリニア中央新幹線は新横浜を通らず、同様に横浜線が接続する相模原市の橋本を通るからだ。新横浜が新たな神奈川の中心として発展すればするほど、そこを通らないリニアの使い勝手の悪さが浮かび上がるようでは、巨額の建設費を投入してリニアを開業させる意味がますます薄れるだろう。
自由をつくったひと 大江健三郎さんを悼む Think! カバーストーリー 3月15日 大江さんは私の母と同じ昭和10年(1935年)生まれである。私の母が認知症になり衰えていく姿を見ながら、私はときおり大江さんのことを考えた。だから、この日が来る心の準備もできていたと思っていたけれど、逝去の報に接したら、覚悟していたよりもずっと大きな喪失感に見舞われて虚脱した。 最初に感じたのは、民主化された戦後の日本で、言語表現の自由を格闘しながら作ってきた経緯と大変さは、今後、忘れ去られてし 自由をつくったひと 大江健三郎さんを悼む 原武史 放送大学 教授 すばらしい文章です。昨今のSNSなどで大量生産される品位なき断片的な罵詈雑言の数々とは対極的な、心から尊敬する故人を偲ぶ静謐な文章です。こういう文章を味読できるならば、新聞も捨てたものではないと思います。大江さんは亡くなっても、その核となる精神は着実に次の世代の作家へと受け継がれてゆく。私が属しているような学者の世界ではなかなかできないことです。うらやましいと思いました。
原武史 放送大学 教授 すばらしい文章です。昨今のSNSなどで大量生産される品位なき断片的な罵詈雑言の数々とは対極的な、心から尊敬する故人を偲ぶ静謐な文章です。こういう文章を味読できるならば、新聞も捨てたものではないと思います。大江さんは亡くなっても、その核となる精神は着実に次の世代の作家へと受け継がれてゆく。私が属しているような学者の世界ではなかなかできないことです。うらやましいと思いました。
臨海地下鉄や蒲蒲線、利便性向上へ新線・延伸進む ローカル線 インバウンド 新型コロナ Think! 東京 関東 地域総合 3月13日 首都圏の鉄道網が新たな変革期を迎えている。国土交通省の交通政策審議会が2016年に答申した「30年ごろを念頭に置いた」新線・延伸計画が一部で具体化しつつある。ただ新型コロナウイルス禍で鉄道の乗客数は落ち込み、少子化が加速するなか、巨額投資へのハードルも高まっている。首都圏鉄道網の未来を追った。 外国人の姿が戻り始めた3月上旬の東京・銀座。「これで新しく地下鉄ができたら、会社員やインバウンド(訪日 臨海地下鉄や蒲蒲線、利便性向上へ新線・延伸進む 原武史 放送大学 教授 「東京へのアクセスを重視する『昭和・平成型』の思考で計画された鉄道計画はもはや時代に合っていないのでは」という分析はまさにその通りですが、目を首都圏だけでなく全国に広げてみれば、「東京へのアクセスを重視する『昭和・平成型』の思考」によって、より大々的に新幹線やリニアの建設が進んでいます。この矛盾に気づくべきではないでしょうか。
原武史 放送大学 教授 「東京へのアクセスを重視する『昭和・平成型』の思考で計画された鉄道計画はもはや時代に合っていないのでは」という分析はまさにその通りですが、目を首都圏だけでなく全国に広げてみれば、「東京へのアクセスを重視する『昭和・平成型』の思考」によって、より大々的に新幹線やリニアの建設が進んでいます。この矛盾に気づくべきではないでしょうか。
あなただけの「ミニ本屋」 棚貸し書店、首都圏で広がる Think! 東京 千葉 神奈川 埼玉 関東 3月2日 本棚の棚一つ一つに異なるオーナーがいる書店がある。作家や愛書家らが棚を借り、自分が読んでほしいと思う「推し」の本の数々を並べ、売ってもらう。そんな新しいタイプの書店が首都圏で広がっている。多彩な趣味嗜好が詰まった本棚は新たな本と出会うきっかけとなり、本好きたちの輪も広げている。 東京・神田神保町のシェア型書店「PASSAGE(パサージュ)」。パリの商店街をイメージした店内の本棚には実在する31の あなただけの「ミニ本屋」 棚貸し書店、首都圏で広がる 原武史 放送大学 教授 何を隠そう、私も神保町のPASSAGEの棚主の一人になっています。自分の棚にはサインを入れた拙著などを常時置いています。ちょうど昨年3月に開店しましたが、果たして自分の本など売れるのかと当初は不安だったものの、いざ蓋を開けてみるとこの1年間で(拙著以外も含めて)300冊も売れました。これはうれしい驚きでした。もともと神保町は本好きが集まる街ですので、一般の書店にはもう売られていない本でもPASSAGEに来れば置いてあるということがわかれば、それを目当てにこの書店を訪れるのではないでしょうか。2年目に入ったPASSAGEのますますの発展を祈っています。
原武史 放送大学 教授 何を隠そう、私も神保町のPASSAGEの棚主の一人になっています。自分の棚にはサインを入れた拙著などを常時置いています。ちょうど昨年3月に開店しましたが、果たして自分の本など売れるのかと当初は不安だったものの、いざ蓋を開けてみるとこの1年間で(拙著以外も含めて)300冊も売れました。これはうれしい驚きでした。もともと神保町は本好きが集まる街ですので、一般の書店にはもう売られていない本でもPASSAGEに来れば置いてあるということがわかれば、それを目当てにこの書店を訪れるのではないでしょうか。2年目に入ったPASSAGEのますますの発展を祈っています。
東急、渋谷を滞在型に 先端行くコンテンツ開発課題 日経産業新聞 Think! 東京 住建・不動産 サービス・食品 2月28日 東急グループが東京・渋谷駅周辺で「100年に一度」の再開発に取り組んでいる。2012年開業の「渋谷ヒカリエ」を皮切りに高層複合ビルなどを6棟完成させ、28年度までに5つのプロジェクトが控える。三井不動産など大手各社も続々と参入し、競争は厳しい。鉄道事業を持つ強みを生かして回遊性を高め、エンターテインメントも充実させて存在感を一段と高める構想を描く。渋谷での競争力は維持できるか。 「ヤーッ、ヤーッ 東急、渋谷を滞在型に 先端行くコンテンツ開発課題 原武史 放送大学 教授 私が学生だったころの渋谷は、「本のデパート」と呼ばれた大盛堂をはじめ、紀伊國屋、三省堂、旭屋などの大型書店が駅の周辺に集まる「本屋の街」でした。ところが東急本店が閉店して「最後の砦」だった丸善ジュンク堂が消えたことで、渋谷にはまともな大型書店が一つもなくなってしまいました。紀伊國屋やジュンク堂が健在な新宿や池袋とはこの点が大きく違っています。渋谷駅は段差だらけになり、乗り換えは面倒になり、谷底に相当する場所に威圧的なビルばかりが建つようになり、本を読んでゆっくりしたい高齢者にはますます縁遠い街になっています。そうした声がこれから先反映されることはあるのでしょうか。
原武史 放送大学 教授 私が学生だったころの渋谷は、「本のデパート」と呼ばれた大盛堂をはじめ、紀伊國屋、三省堂、旭屋などの大型書店が駅の周辺に集まる「本屋の街」でした。ところが東急本店が閉店して「最後の砦」だった丸善ジュンク堂が消えたことで、渋谷にはまともな大型書店が一つもなくなってしまいました。紀伊國屋やジュンク堂が健在な新宿や池袋とはこの点が大きく違っています。渋谷駅は段差だらけになり、乗り換えは面倒になり、谷底に相当する場所に威圧的なビルばかりが建つようになり、本を読んでゆっくりしたい高齢者にはますます縁遠い街になっています。そうした声がこれから先反映されることはあるのでしょうか。
天皇陛下63歳に 結婚30年、皇后さまは「大切な存在」 令和の皇室 Think! 2月23日 天皇陛下は23日、63歳の誕生日を迎えられた。これに先立つ記者会見で、6月に控える結婚30年について「時の流れの速さを感じます」と言及し、皇后さまが「日々の活動を支えてくれる大切な存在」だとして感謝の気持ちを述べられた。 皇后さまは昨年12月の59歳の誕生日にあたり、29歳と半年での結婚以来、人生の半分を皇室で過ごしたことへの感慨をつづられた。陛下は皇后さまが「公私にわたり良き相談相手」だとし「 天皇陛下63歳に 結婚30年、皇后さまは「大切な存在」 原武史 放送大学 教授 この記事では触れていないが、誕生日に際しての会見で天皇は「今後の活動に当たっては、(中略)オンラインも活用しながら、様々な形で広く国民の皆さんと接することができればと思っています」と述べた。たとえコロナ禍が収束しても、従来のような地方視察だけでなく、オンラインも併用するということだろう。このスタイルは、天皇と皇后が皇居の外に出て日本の隅々をくまなく回る「平成流」とは明らかに異なる。他方で、英国王室などのように皇室がSNSを積極的に活用するかどうかについては、慎重な言い回しに終始した印象を受ける。オンラインは活用してもSNSは活用しないというのが「令和流」の特徴といえようか。
原武史 放送大学 教授 この記事では触れていないが、誕生日に際しての会見で天皇は「今後の活動に当たっては、(中略)オンラインも活用しながら、様々な形で広く国民の皆さんと接することができればと思っています」と述べた。たとえコロナ禍が収束しても、従来のような地方視察だけでなく、オンラインも併用するということだろう。このスタイルは、天皇と皇后が皇居の外に出て日本の隅々をくまなく回る「平成流」とは明らかに異なる。他方で、英国王室などのように皇室がSNSを積極的に活用するかどうかについては、慎重な言い回しに終始した印象を受ける。オンラインは活用してもSNSは活用しないというのが「令和流」の特徴といえようか。
プーチン氏演説「敗戦あり得ない」 ウクライナ侵攻1年 ウクライナ侵攻1年 Think! ヨーロッパ 北米 2月22日更新 【ワルシャワ=中村亮】ロシアのプーチン大統領は21日、「特別軍事作戦」を柱とする年次教書演説に臨んだ。ウクライナ侵攻から1年の節目が近づき、国民に作戦への協力を求めた。バイデン米大統領はウクライナへの長期支援を確約しており、米ロ対立は激しさを増す。 プーチン氏は21日正午(日本時間午後6時)からモスクワのクレムリン近くの会場で侵攻後初となる年次教書演説を行った。 ウクライナでの特別軍事作戦につい プーチン氏演説「敗戦あり得ない」 ウクライナ侵攻1年 原武史 放送大学 教授 開戦から1年にあたり、プーチンが「戦場で敗北することはあり得ない」と述べたことは、太平洋戦争の開戦から1年にあたり、昭和天皇が伊勢神宮で「速けく敵等を事向けしめ給ひ(中略)無窮に天下を調はしめ給へ」という御告文を読み上げたことを思い出させる。プーチンと天皇を一緒にするなという反論があるのは承知している。だが当時の天皇は陸海軍を統帥する大元帥であり、戦況が不利になっても戦勝に固執していたことはさまざまな史料から明らかになっている。ウクライナ戦争を「対岸の火事」として眺めるのではなく、先の大戦に重ね合わせて見る視点が求められていると思う。
原武史 放送大学 教授 開戦から1年にあたり、プーチンが「戦場で敗北することはあり得ない」と述べたことは、太平洋戦争の開戦から1年にあたり、昭和天皇が伊勢神宮で「速けく敵等を事向けしめ給ひ(中略)無窮に天下を調はしめ給へ」という御告文を読み上げたことを思い出させる。プーチンと天皇を一緒にするなという反論があるのは承知している。だが当時の天皇は陸海軍を統帥する大元帥であり、戦況が不利になっても戦勝に固執していたことはさまざまな史料から明らかになっている。ウクライナ戦争を「対岸の火事」として眺めるのではなく、先の大戦に重ね合わせて見る視点が求められていると思う。
人の心が動かす社会 地に足をつけ日本の精神史たどる 人間発見 Think! 生活 2月19日 宗教学者の島薗進さんは社会学や歴史、哲学や文学など様々な学問に目配りし、幅広い視野から日本や世界の精神史への考察を深めてきた。さらに死生学や遺族へ寄り添うグリーフケアとの関わりを通じ、人々の生活の場からの血の通った視点も持ち合わせる。その目に今の世界はどう見えるのだろうか。 しばらく前まで、経済が発展すれば世界は民主化に向かうのだという共通の認識がありました。しかし、経済成長で問題を解決しようとす 人の心が動かす社会 地に足をつけ日本の精神史たどる 原武史 放送大学 教授 「全体をとらえる大きな枠の議論は今のアカデミズムの若い人達には人気がありません。それで実証主義に傾くのですが、やはり大きな枠組みで理解し、説明しないと見えてこないものがあるのではないでしょうか」という島薗さんの御見解、私も全く同じように思います。近年の島薗さんの国家神道研究は、まさにそうした枠組みを構築しようとする試みであり、心強く思っています。それを「実証主義」的に批判する「若い人達」がいることも事実ですが、その批判にはあまり説得されません。私自身、大学院時代に神道を中心とした思想史の「大きな枠」を作ろうとした論文を島薗さんに褒めていただいたことがあり、個人的に敬意を抱いています。
原武史 放送大学 教授 「全体をとらえる大きな枠の議論は今のアカデミズムの若い人達には人気がありません。それで実証主義に傾くのですが、やはり大きな枠組みで理解し、説明しないと見えてこないものがあるのではないでしょうか」という島薗さんの御見解、私も全く同じように思います。近年の島薗さんの国家神道研究は、まさにそうした枠組みを構築しようとする試みであり、心強く思っています。それを「実証主義」的に批判する「若い人達」がいることも事実ですが、その批判にはあまり説得されません。私自身、大学院時代に神道を中心とした思想史の「大きな枠」を作ろうとした論文を島薗さんに褒めていただいたことがあり、個人的に敬意を抱いています。
サクラ咲く中学受験銘柄は 早稲アカ、王者SAPIXに挑む 日経ヴェリタス 株式投資 Think! コラム 教育 学ぶ 2月14日 少子化に歯止めがかからない日本。それでも業績を伸ばす教育関連企業は少なくない。子供の将来のため、高い費用を払っても良い教育を受けさせたいという親心が市場の成長を支える。中学受験塾や習い事教室などを運営する有望銘柄を探った。 「この図から何を探そうとしているか、わかるよね」。講師の質問に、生徒が素早く挙手する。早稲田アカデミーの豊洲校(東京都江東区)の授業風景だ。同社最大の約1100人の生徒が通い サクラ咲く中学受験銘柄は 早稲アカ、王者SAPIXに挑む 原武史 放送大学 教授 かつて文藝春秋の「同級生交歓」で、御厨貴さんと阿川尚之さんが出ていましたが、なんと二人は中学受験塾の「四谷大塚」の同級生でした。つまり1960年代から中学受験のための進学塾はあったわけです。私が中学を受験した70年代は「日進」と呼ばれた日本進学教室と四谷大塚が「両雄」で、どちらも成績優秀な小学生を集めていました。そのあと日進が凋落し、いまの日能研が台頭する時代に移ると思いますが、それがどのようにしてこの記事にあるような、SAPIXがトップとなり、早稲アカがそれに続く時代へとさらに移ったのか。中学受験から見た戦後史に関する本格的な研究が待たれるところです。
原武史 放送大学 教授 かつて文藝春秋の「同級生交歓」で、御厨貴さんと阿川尚之さんが出ていましたが、なんと二人は中学受験塾の「四谷大塚」の同級生でした。つまり1960年代から中学受験のための進学塾はあったわけです。私が中学を受験した70年代は「日進」と呼ばれた日本進学教室と四谷大塚が「両雄」で、どちらも成績優秀な小学生を集めていました。そのあと日進が凋落し、いまの日能研が台頭する時代に移ると思いますが、それがどのようにしてこの記事にあるような、SAPIXがトップとなり、早稲アカがそれに続く時代へとさらに移ったのか。中学受験から見た戦後史に関する本格的な研究が待たれるところです。
原武史
放送大学 教授
放送大学 教授
1962年東京都生まれ。日本経済新聞社勤務などを経て、東京大学大学院博士課程中退。明治学院大学名誉教授。日中文化交流協会理事。講談社本田靖春ノンフィクション賞選考委員。専門は日本政治思想史。著書に『大正天皇』(毎日出版文化賞)、『滝山コミューン1974』(講談社ノンフィクション賞)、『昭和天皇』(司馬遼太郎賞)、『皇后考』、『歴史のダイヤグラム』など。
【注目するニュース分野】皇室、政治、宗教、鉄道、住宅、ジェンダー
1962年東京都生まれ。日本経済新聞社勤務などを経て、東京大学大学院博士課程中退。明治学院大学名誉教授。日中文化交流協会理事。講談社本田靖春ノンフィクション賞選考委員。専門は日本政治思想史。著書に『大正天皇』(毎日出版文化賞)、『滝山コミューン1974』(講談社ノンフィクション賞)、『昭和天皇』(司馬遼太郎賞)、『皇后考』、『歴史のダイヤグラム』など。
【注目するニュース分野】皇室、政治、宗教、鉄道、住宅、ジェンダー