【ウスビ・サコ】投稿一覧

ウスビ・サコ
ウスビ・サコ

ウスビ・サコ

京都精華大学 全学研究機構長

京都精華大学 全学研究機構長

マリ共和国生まれ。高校卒業と同時に国の奨学金を得て中国に留学。北京語言大学、南京東南大学を経て91年来日。99年、京都大学大学院工学研究科建築学専攻博士課程修了。博士(工学)。専門は空間人類学。京都精華大学人文学部教員、学部長を経て2018年4月から2022年3月まで、京都精華大学学長を務める。2022年4月より全学研究機構長、アフリカ・アジア現代文化研究センター センター長。5カ国語および関西弁を操るマリアンジャパニーズ。
【注目するニュース分野】コミュニティ、建築

マリ共和国生まれ。高校卒業と同時に国の奨学金を得て中国に留学。北京語言大学、南京東南大学を経て91年来日。99年、京都大学大学院工学研究科建築学専攻博士課程修了。博士(工学)。専門は空間人類学。京都精華大学人文学部教員、学部長を経て2018年4月から2022年3月まで、京都精華大学学長を務める。2022年4月より全学研究機構長、アフリカ・アジア現代文化研究センター センター長。5カ国語および関西弁を操るマリアンジャパニーズ。
【注目するニュース分野】コミュニティ、建築

2023年

  • 金融、インフレ、輸出入等の仕組みは一般の人々に分かりにくい。どの国も「スタグフレーション」現象に陥っている。様々な分析を見るとオイルショック以来の危機状況を感じる。様々な国と地域、また共同経済圏では政策が打ち出されているように見受けられるが、時間稼ぎにしか見えない。国家というシステムは本来国民を守り、インフレをコントロールしながら、収入と消費、物価のバランスを視野に入れる政策を打ち出す。しかし、今の国家のシステムは何を、誰を守っているのか、はっきりしない。富裕層が増え、よりお金を稼ぎ、貧困層がより貧困になっている。分断と格差の拡大がとまらない世界。首相のポストコロナ政策と社会改革に期待したい。

  • 少子化のメカニズムは非常に複雑で、金銭的な支援や仕組みづくりだけでは解決しきれないものがあります。中国の「一人政策」でも、伝統的にお爺ちゃんとお婆ちゃんが孫の面倒を見ることが非常に支えになったと聞いております。日本の少子化対策、あるいは出生率を高めるためには、社会全体の仕組みを見直す必要がある。私の周りでも、妊娠中に仕事のストレスが原因で流産されたり、未婚であれば、責められたり、当然、男性で未婚の父として、休みは取りづらいはずです。社会全体が個人の人権と社会の中での居場所を保障することを金銭的対応より大切にすれば、安心して、子どものことを考えるひとも増えるだろうと思います。

2022年

  • グローバリゼーションはヒト、モノ、カネそして情報などが国境を超えて自由に移動し、それらの価値は一国の判断で決められない。1000年前のことを考えれば、それらの移動の過程で、地域と地域が認め合い、尊重し合う関係にあった。トンブクトゥのサンコレー大学に集まった学者、サハラ交易で行われた文化交流なども世界の人々をつなぐ証であった。市場主義を中心とする今のグローバリゼーションは民主的とはいえ、強者の論理によってコントロールされ、消費者と生産者を対等の関係で結ばない構造となっている。個人が国の概念を超えて存在し、物事の価値は1国の政策で決めにくいグローバリゼーションの成功に共生社会の実現が重要である。

  • ペレの死はサッカー界にとって衝撃なニュースです。ペレはブラジルだけではなく、世界の若者たちに夢と希望を与えた存在でした。多くの選手がなりたいスポーツマンモデルであります。アフリカでもペレのプレイを見てサッカーにはまり、サッカーで人生が変わった若者は多くいます。私の出身のマリでは、同世代の若者たちが集まると、サッカーの話で盛り上がり、そこでもペレの話が出ます。私の周りに、ペレのことを夢にみて、プロに進み、ヨーロッパのリーグでプレイをしていた知人もいます。分断が進む今の社会では、夢を持ってその実現に頑張る若者が減っていると思います。若者に夢を与えるペレのような存在は大きい。ペレ、夢ありがとう。

  • 出生率回復には、ドイツの例にあるように、仕事や社会全体の仕組みや価値観を変更する必要がある。日本でも、働き方改革等、様々な対策がなされているが、抜本的な仕組みの変化につながっていない。制度づくりは大分進んでいるが、慣習的な仕事の個人の関わり方や仕組みは変わらないままが大問題である。例えば、育児休暇をとる場合、多くの人が心配するのは休みの間に誰が「自分の仕事」を担当するのか、他の人に迷惑をかけるのではないか。ここでいう、「自分の仕事」の調整という価値観、仕事は個人に張り付く習慣などの同調圧力を変えることが重要である。出生率の回復には、社会の働き方の価値観を抜本的に変化することが求められる。