【大泉一貫】投稿一覧

大泉一貫
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宮城大学 名誉教授

宮城大学 名誉教授

1949年宮城県生まれ。東京大学大学院修了。農学博士。一次産業の成長化を主張、地域経済の活性化の研究に従事。著書に『日本の農業は成長産業に変えられる』(洋泉社)、『希望の日本農業論』(NHK出版)、『フードバリューチェーンが変える日本農業』(日本経済新聞出版社)等、日本地域政策学会名誉会長、「規制改革会議」「産業競争力会議農業分科会」等の委員・有識者等を歴任。
【注目するニュース分野】農業、食料問題

1949年宮城県生まれ。東京大学大学院修了。農学博士。一次産業の成長化を主張、地域経済の活性化の研究に従事。著書に『日本の農業は成長産業に変えられる』(洋泉社)、『希望の日本農業論』(NHK出版)、『フードバリューチェーンが変える日本農業』(日本経済新聞出版社)等、日本地域政策学会名誉会長、「規制改革会議」「産業競争力会議農業分科会」等の委員・有識者等を歴任。
【注目するニュース分野】農業、食料問題

2023年

  • 農産物品種開発の先端を担うのが各県にある農業試験場。民間の種苗会社もあるが、その県の特産農産物はほぼ県の農業試験場が担っている。コメ地帯ではブランド米開発などが得意だ。
     ただ、市場性より、作りやすさや、一般的な嗜好性を重視することが多く、開発したはいいが、市場から消えていく品種も多い。
     記事にある栃木県が開発した「とちあいか」は、農家目線の色合いも匂うが、市場を見据えた県のイチゴ産地戦略全体の中に位置づけられているという。代わって今売れ筋の「とちおとめ」を8割から1割に減らすというかなり大胆な戦略変更だ。輸出特性はどうかなど気になる点もあるが、成功を期待したい。

  • バラや切り花の供給地がアフリカにシフトしている。ウクライナ危機が拍車をかけている。
     農業全般にいえることだが、肥料、エネルギー、施設等々の諸費用の値上がりで、これまでの売価では採算がとれなくなっている。そこで供給地が世界規模で移動しているという。
     オランダは、これまでもケニヤやエチオピア等での生産に関与してきた。知財や物流を武器にしたグローバル戦略である。これが今後どの程度通用するのか。翻って、そうした戦略を持たない日本の花卉の縮小は、国内需要は堅調なだけに残念な気がする。

  • これまでの乳価政策の成功体験が災いしています。「加工原料乳生産者補給金暫定措置法」です。国内市場だけで運用しようとするため国際市場から遮断されてきました。  
     この制度だと製品毎に需給と価格が違うため需給調整は複雑になるだけで、記事にあるように「過剰なのに価格が上がる」不思議な現象がおきます。
     他方で世界的に見ると牛乳はもはや貿易品目になっています。他の国は国際市場を需給調整の場に使っており、制度もシンプルです。我が国の酪農家の採算が合わなくなるというなら「直接支払い」を講ずるべきでしょう。飼料を海外に依存するいびつな畜産の構造も同時に修正していくべきと思います。

  • 鳥インフルエンザによって1100万羽の殺処分。9割が採卵鶏。「卵価高」。回復に1年はかかる。記事が言いたいのは、日本の畜産の海外依存だろう。
     「原種鶏」の輸入、餌となる飼料穀物の輸入、したがって為替相場に影響される卵価。安い卵価を維持してきたこの構造が逆回転しはじめた。飼料穀物の国内生産を考える時期だろう。
     ところで、感染の9割が採卵鶏でブロイラー(肉鶏)は1割。なぜこんなに違うのか?
    理由の一端に鶏舎の違いと人の出入りの頻度がある。外と遮断がしやすいのがブロイラー。回復に1年かかるとすればその頃又鳥インフルがくる。この1年で採卵鶏に改善が見られるか?

  • 生活や他の産業ととても親和性が高いのが農業です。農業に「こうでなければならない」といったものはなく、多様にビジネスモデルを作れます。その結果、家庭菜園から小規模農業、日本の農業を牽引する農業までいろいろ存在することになります。記事にある農業も、「事業として成立し、個人として充実感を得ており」我が国にもっと増えて良い農業と思います。
     我が国の農業の大きな課題は、「いざというときに国民を飢えさせないこと」にあります。そのためには中心に生産性・付加価値の高い農業が必要です。中心がしっかりあって周辺も豊かになるのが理想です。それには経営する人の力量がそれぞれのレベルで大切になると感じています。

  • 官製賃上げから脱却するには、賃上げが自社の収益増加に結びついたという実績が必要。食品業界では、すでにコスト増を商品価格に転嫁し増益に転じた事例が見られる。
     経営者は、人材登用・賃上げと、収益(価値創造)の関係のストーリーを持たなければならないと記事では指摘している。コストカットや人員整理を中心としてきたこれまでの考えを一転する必要がある。人員整理が必要であれば、競合他社にM&Aなどして雇用を維持してはどうか。人材の流動化を促すことにもなる。今後ますます人的資本経営の大切さが増すと思う。

  • 「世界農業遺産」は、言ってみれば棚田保全のようなものです。
     伝統農法と、それに関わる景観や文化、生物多様性などを評価します。結果として、近代農法のアンチ的な意味合いを持つのでまさに「遺産」です。
     宮城県でも伊達藩時代に作った水田の水管理システムで大崎市が世界遺産に認定されました。2017年ですが、その後毎年のように大きな水害に見舞われているのは皮肉です。
     日本の認定数は多く、ヨーロッパは低調です。農水省が力を入れているのと、「地域おこし」の一環として取り入れたいというのが背景にありそうです。和歌山の有田もおそらく認定されるのではないでしょうか。

  • 小売り・外食業界の傾向がこの1年で見えてきた感があります。
    低価格志向が苦戦し、高価格新商品指向の企業が若干増益と言った傾向です。特に食品業界では、値上げや新商品投入が功を奏している感があります。デパートなどにも同様の傾向がみられます。
    他方、ホームセンターなどは海外生産が多く、円安の影響を受けまだ減益が続きそうです。
    小売り・外食は難しい業界で、予測は難しいのですが、このトレンドがもう少し長く続けば、ポストコロナの食品市場は、デフレ時代とは明らかに違った市場になりそうです。

  • 鳥インフルエンザは、渡り鳥が媒介するので、水辺から離れたところに鶏舎を作るのが鉄則です。それでも乗り越え侵入する野鳥がいますし、野生動物、人、車両からの感染もあります。消毒等の徹底、感染したら殺処分しかない状況です。
     998万羽の殺処分というと、飼養羽数のおよそ3%に相当します。この供給減は価格に大きく跳ね返ります。卵は、物価の優等生と言われていましたが、飼料価格の高騰と相まって、卵も鶏肉も値上がりするでしょう。食品の値上げに拍車がかかりそうで困ったものです。

  • お祭りです。ワクワクします。豊洲が一番ですが、それ以外の卸売市場でも初物が高値で取引されるようになりました。青果でも、シャインマスカット一房10万円という初セリもありました。
    小売りや外食業者の目が高級ブランド品にいくようになったのが背景にあります。卸売市場の規制緩和が進んだのも一因です。
    市場には昔から威勢のいい方たちが大勢いて、いい仕事をしています。彼らにあやかって「気が良くなり、景気が良くなる」様にしたいものです。「祭りの後の静けさ」にならないようにしましょう。