物価高・値上げを考える

企業間の受発注における価格転嫁の動きが活発だ。埼玉県は価格転嫁に活用するデータを「見える化」する独自ツールの作成など、2022年度から企業支援を強化しており、元請けと下請けの間で適正な取引を目指す「パートナーシップ構築宣言」の登録企業の数は昨年夏から2倍近くに増えた。原材料価格は依然高止まりで、今後もサプライチェーン（供給網）全体を通じた収益性の改善が課題となる。 埼玉県は22年9月に産官金労の

都道府県が資材価格の高騰を踏まえて公共工事の入札対策を強化している。発注価格の算定に使う資材単価をこまめに上げるなどする都道府県は8割に上る。2022年度の入札全体に占める不成立の割合は6.3%と、高騰前の19年度の8.4%から低下した一方、事務手続きなどの負荷が重くのしかかる。 日本経済新聞社は3月下旬、47都道府県を対象に公共工事の入札状況を調査し、全都道府県が回答した。22年4月〜23年2

店頭価格が長らく上昇していない「物価の優等生」に交代の兆しが生じている。値上がりが続く鶏卵に代わり、注目されているのがキノコだ。食料品価格が軒並み上昇するなか、キノコは価格の低空飛行が続く。工場で生産されるため供給が安定し、値上げが難しい。増加する生産コストと消費者の節約志向がジレンマとなっている。 価格安定、注目度は上昇 「インフレ進行で家計は正に存亡の危機！そんな中、いまだ低価格のシメジを使

砂糖の原材料である粗糖の国際相場が2022年末と比べ2割上昇した。世界最大の生産国ブラジルの通貨レアルが対ドルで上昇し輸出意欲が減退するとの観測が広がっているほか、天候不順を背景とするサトウキビの収穫の遅れも買い材料視されている。粗糖の高値圏を受け、国内の砂糖卸値は上げ圧力が強まっている。 粗糖の国際指標となるニューヨーク先物（期近）の1日終値は、1ポンド24.88セントと22年末と比べて24%

自治体が住民を対象に省エネ家電の購入支援策を相次ぎ打ち出している。富山県や横浜市では家電の省エネ性能などに応じて最大3万〜4万円分を還元し、買い替えで家計の電気代負担を軽くする。6月に家庭向け電気料金の引き上げを各地で迎えるなか、申請が殺到し、開始から10日間で予算が尽きる自治体も出ている。 富山県は5月の補正予算に支援事業費として5億円を計上し、準備を進めている。各家電の省エネ性能を星印で示し

【ベルリン=南毅郎】欧州連合（EU）統計局が1日発表した5月のユーロ圏の消費者物価指数は伸び率が前年同月比6.1%と、4月の7.0%から鈍化した。エネルギー価格が下落に転じた一方、食品などは10%以上の高い伸びを維持した。インフレ基調は衰えておらず、欧州中央銀行（ECB）は粘り強く利上げを続ける構えだ。 市場予想の6.3%を下回った。伸び率の鈍化は2カ月ぶりで、2022年10月につけた過去最高の

物価やエネルギー価格の高騰が長期化する中、首都圏の自治体は家庭や企業の負担を軽減するため、国の対策に加え独自の支援策を打ち出している。一部の自治体では国や県の対策を補完する形で子育て世帯の支援策も進めている。 千葉県は教育費がかかる子育て世帯を支援するため、県独自で小・中学生と高校1年生を対象に1人あたり1万円を給付する。所得制限は設けない。 県内在住の小学1年〜中学3年生には習い事や体験活動な

「SALE」の札で客を誘うのは米小売業の常だ。だが今は40年ぶりのインフレのさなか。値下げ品であふれた店内は奇異に映った。 4月半ば、ニューヨーク市の大手家具チェーン「レイモア・フラニガン」での光景だ。なぜ値下げ？　ベテラン店員のダニエル氏に問うと意外な答えが返ってきた。 「パンデミック時の品不足で値上げしたら利幅が広がり、供給難が和らいでくると想定外にもうけたからさ」。親切にこうもささやく。「

新潟労働局が30日に発表した4月の新潟県内の有効求人倍率（季節調整値）は1.58倍となり、前月に比べ0.02ポイント上昇した。情報通信業の新規求人数（原数値）が前年同月比で46.4%増加した。様々な企業が業務のデジタル化を進める中、受注が好調に推移しているIT（情報技術）企業からの大口の求人が相次いだ。 長野労働局が同日発表した長野県内の有効求人倍率（季節調整値）は1.48倍で、前月に比べ0.0

久しぶりにビール業界が荒波に揺れている。安さを打ち出したサントリーの新商品ビールによって、他社が予想以上の圧迫を受けはじめている。2023年10月の酒税改正に伴うビール減税後をみすえた動きの一つだが、原料高や物価高を度外視したかのようなサントリーの「乱」に他社は不信感を募らせる。家計の節約志向が強まるなか、早くも価格競争が勃発するのか。今後の消費を占う構図が浮かび上がる。 10円安く、出足好調に